• ポイントキャンペーン

ちくま文庫
罪と監獄のロンドン

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 350p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784480430014
  • NDC分類 368.6
  • Cコード C0198

出版社内容情報

ヴィクトリア朝時代、繁栄を謳歌する一方で、貧困・飢餓・病疫が蔓延し、犯罪がはびこる悪徳の都市であったロンドンの暗闇に迫る。図版多数。

内容説明

ヴィクトリア朝時代のロンドン。産業革命によって繁栄を謳歌する一方で、厳しい身分制度による社会の閉塞感、飢えや貧困、疫病の蔓延などは、犯罪の温床ともなった。夫は妻に、親は子どもに暴力をふるい、召使いは主人の金品をくすね、暴漢は街角で追剥ぎを働く。そして行われる裁判・拷問・鞭打ち・焼き印・懲役刑・死刑・晒し台…。社会の最底辺から眺める、もうひとつのロンドン案内。

目次

あなたは奥さんを叩きませんか?―ビクトリア朝の家庭内暴力
人間に対する犯罪―幼児虐待、暴行、性犯罪
危険な女たち―万引きに対して暴力で返礼された原告さまざま
児童犯罪―八歳の子供への、死の宣告、流刑、禁固
惨めな乞食たち―路上や矯正労働施設における悲惨な人生
法廷の明るい側面―ビクトリア朝の治安法廷での微笑ましい出来事
懲役に行く前に―晒し台、焼き印、鞭打ち、その他の拷問各種
再留置中の囚人たち―一八世紀の無政府状態から、一九世紀の厳罰主義までとにかくたくさんの囚人が裁判を待っていた
裁判と判決―“黒いマリア”で監獄へ
重労働、まずい食事、硬いベッド―囚人たちの語るビクトリア朝監獄の恐るべき実態
監獄病院―数日でも環境の変わることを夢見たたくさんの者たちの行き着く果て
看守と規律―何も失う物が無くかたくなになっている囚人たちが、暴動や無政府状態を引き起こさないようにするための必要な厳しい対策
監獄の女たち―「女たちは互いに、とてつもなく仲良くなるか、致命的に憎み合うか、どちらかだ」
礼拝堂―直立した棺に入って入拝する
脱獄
釈放

著者等紹介

ジョーンズ,スティーブ[ジョーンズ,スティーブ][Jones,Steve]
英語教師を辞めてから、調査・写真収集そして執筆活動にいそしむ

友成純一[トモナリジュンイチ]
1954年福岡県生まれ。早稲田大学政経学部卒。作家・評論家。大学在学中に、探偵小説専門誌「幻影城」の新人賞評論部門を「リラダン論」で佳作入選。1989~91年までロンドンに住み、その後も定期的に海外の映画祭などに参加して、映画と怪奇ファンタジーの研究を続ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

藤月はな(灯れ松明の火)

44
エールを飲まなければやっていけず、DVが当たり前で妻は徹底抗戦をしなければ夫に殺されて死んでしまうというヴィクトリア朝のイーストエンドの様子に「父がこの時代にいなくて良かった!」と心底、思わずにいられませんでした。女性が暴行されても裁判員たちが男ばかりで暴行を振るった夫や男も罰金刑などの刑罰で済んでいたことに唖然。そしてそんな家庭から抜け出して孤児になることで身の安全を図った子供たちがいたことも絶句。また、重罪人に対する処刑や拷問方法が酷すぎる。牢獄に入れられる結果に社会学でのラベリングを思い出しました。2014/02/20

こばまり

33
面白かったです。ロンドンでパブ文化が花開いたのは過酷な労働と劣悪な居住環境のせい。そして飲んで飲んで飲んで。犯罪も生まれるわけです。待っているのは酷い刑罰と身の毛もよだつ服役生活。図版や写真がふんだんに盛り込まれた本書には当時のマグショットも多数。この後、彼、彼女は一体どうなったのだろうと思うことしきりでした。2014/06/11

壱萬弐仟縁

14
原著1992年。邦訳初出1997年。13頁の挿絵はDVがあったことを物語る。第1章をみると結婚なんて地獄とわかる。1887年には、警察官も襲われるほどの治安の悪さを物語る写真がある(33頁)。挿絵、写真多数でヴィヴィッドに当時の世相を描き出すのは見事。1871年、警察官がDVを止めにはいって、暴行罪で訴えられ罰金刑だという。妻は男の私有財産という発想のようだ(50頁)。おそるべきものがある。第4章は深刻な少年犯罪の話も。18Cは人権感覚が麻痺していると思える。晒し者という存在はなんなのか。第11章は監獄。2014/01/05

🐾ドライ🐾

5
英国ビクトリア朝時代(日本は江戸末期~明治)のロンドン。有名な事件ではなく、日常頻繁に起こる犯罪、そして裁判、囚人の生活を取り上げた本。ロンドンの荒み具合(欧州全般の治安の悪さ)がわかる。本屋でパラパラっと見て面白そうだと買ってみたが内容はかなり大雑把。本編より10ページに満たない文庫版訳者あとがきのほうが面白いってどういうこと?「本屋での直感も外すことはあるさ」とポジティブに考えて、さあ次の本へ!2016/04/19

minamimi

3
シャーロックホームズを読み返していて、19世紀後半のロンドンに興味が湧いてきた折に、図書館で見つけた本。ジャック・ロンドンの本も引用されていた。とにかく野蛮。野蛮だけど社会構造が酷い。産業革命の成れの果ての闇。植民地時代の終わり。この後第一次世界大戦があって、この本に出てくるような人たちやその子どもたちは、兵士として戦地に赴いたのだろうか?2021/08/01

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/5568544
  • ご注意事項