ちくま文庫
文豪たちの大喧嘩

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  • サイズ 文庫判/ページ数 360p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784480429766
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0195

出版社内容情報

好戦的で厄介者の論争家、鴎外。標的とされた暢気な逍遥。独立闊歩の若き批評家、樗牛。文学論争を通して、その意外な横顔を描く。

内容説明

「鴎外にだけは気をつけよ」好戦的な厄介者、論争家としての鴎外。「『小説神髄』の執筆は御苦労であったが、我が文壇に影響するところは皆無」鴎外の標的とされた逍遙。「目指す相手は森鴎外」独立独歩の若き批評家、高山樗牛。攻守転々三つどもえ、目くらましあり、禁じ手ありの筆合戦。明治文学の黎明期に起こった文学論争を通して、文豪たちの意外な素顔を描く。

目次

1 鴎外にだけは気をつけよ
2 鴎外はじめて苦境に立つ
3 論理に勝って気合い負け逍遙
4 鴎外の追撃を断ち切った逍遙
5 樗牛が鴎外に罠を仕掛ける
6 評論から手を引く羽目になった鴎外
7 対決を回避して遁走する鴎外
8 樗牛が逍遙に噛まれて謝る
9 手練手管の度を越した樗牛の小細工
10 樗牛が釈明の機を逸する
11 西洋思想史を居丈高に説教して空振り

著者等紹介

谷沢永一[タニザワエイイチ]
1929年大阪市生まれ。関西大学大学院博士課程修了。書誌学および日本近代文学を専門とする。関西大学文学部教授を経て名誉教授。評論家としても活躍した。『完本 紙つぶて』でサントリー学芸賞、『紙つぶて 自作自注最終版』で毎日書評賞、『文豪たちの大喧嘩』で読売文学賞を受賞。大阪市民表彰文化功労、大阪文化賞受賞。2011年3月、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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テツ

19
森鴎外の作品自体はわりと好きなんだけれど、彼の論争(というか喧嘩)を読みそこで使用されるロジックを知ると、現代日本でSNS内で喧嘩する若人たちと大して変わらねえなあと幻滅半分安心半分なきもちに。どんな人間でも他者を攻撃するときには興奮してしまうのか文筆家なのに美しい罵詈雑言などはなかった。エスプリの効いた罵倒された本人ですら笑ってしまうようなものを見たかったな。2017/05/23

ラウリスタ~

15
どうやらこの本は、森鴎外の化けの皮を剥ぐことを第一の目的としているようだ、また北村透谷をぼこぼこにするものも用意していたようだが、ノートみたいなものだけが巻末にあって透谷のあまりの見識のなさをあげつらっている。これを読むと、明治の西洋文化の受容があまりにも酷いものだったことがよく分かる、谷沢はどうやらそんな魑魅魍魎の中にきちんと功罪をはっきりとさせたいようだ。要するに逍遥は良くて、樗牛は鴎外への批判者としてはOK、鴎外はどうにもならない、と。西洋文明を無理やり移植するのはやはり至難のわざだった。2016/06/30

zunzun

5
近代文学者・谷沢永一による近代文学者たちの論争を一部扱った本である。谷沢といえば書誌学に定評のある学者だが、近代文学者の論争史の殆どを読んでおり、この本を書くのには打って付けであった。「序」にあるように、本書の特徴は引用をなるべく省いたことである。彼曰く、「読書はたいてい引用を飛ばして、著者の解説を読む」という。論争が主題のため文を引っ張ってくれば頁に収まらないほど膨大になることは容易に予想がつく。そのため谷沢による自家でまとめあげた紹介がつづく。そこに確証を疑う余地があるが、谷沢の肥沃な語彙もあって2024/08/10

魔魔男爵

5
本書のベストセリフ曹丕「文人相軽ンズ(詩文学芸を以て立つ者は必ず自惚れが強く嫉妬心が強いので、仲間同士お互いに他を貶め見下し卑しめ蔑みアラを探し欠点をつつきだし踏みつけにしようとする)」森鴎外のセコイ小物振りに笑えるアンチ森鴎外派の為の本。百目鬼恭三郎風に喩えるならメザシたちの喧嘩である。バカバカしい喧嘩を楽しむ心の余裕がある時に読んで下さい。芸のある罵詈雑言も少なくて期待外れ。三国志の悪口の天才、狂士禰衡が綺羅星の如き魏の面子を罵る文の方が遥かに面白い。書評に適してるのは演繹か帰納かの問題は参考になる。2013/01/29

Fumihiko Kimura

2
著者の独特の語り口が僕には大変快かった。中では、鴎外をやりこめた樗牛の件が一番興味深く面白く。本書を読了して、鴎外を益々嫌いになり、逍遥の事績に興味を持った。2013/08/12

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