内容説明
「虫」というと、チョウやトンボやテントウムシのようにデザイン化されたり歌に歌われたりする愛らしい虫たちもいるが、日々地べたを這いずり回りながら地味に生きている虫たちの方が圧倒的に多い。しかし彼らもいつか華麗に飛び立つことを夢見て、必死に、そしてしたたかに生きている。その姿を精密で美しいイラストとともに紹介する。
目次
ミツバチ―働き者は、おばあさん
アゲハチョウ―美しく舞う策略家
ジャコウアゲハ―毒を食らわば皿まで
モンシロチョウ―紋は黒いのに紋白蝶?
ナナホシテントウ―カラフルな水玉の謎
ニジュウヤホシテントウ―草食系は嫌われる?
イエバエ―ハエが手をする理由
ウンカ―武将の怨念
アメンボ―忍者もかなわない
ゲンジボタル―ホタルの光は何のため?〔ほか〕
著者等紹介
稲垣栄洋[イナガキヒデヒロ]
1968年静岡市生まれ。岡山大学大学院農学研究科修了。農学博士。専攻は雑草生態学。農林水産省を経て、静岡県農林技術研究所上席研究員、静岡大学客員教授
小堀文彦[コボリフミヒコ]
1962年東京都生まれ。フリーイラストレーター。小中学校理科教科書、学習図鑑、百科事典、絵本、ゲームソフト等幅広い分野にイラストを提供(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
つねじろう
69
「身近な雑草の愉快な生きかた」を買う予定だったけどいつの間にか隣にあったこの本を手に取ってた。ミツバチに始まる50種の今更ながらのよく知った虫たちを愛情溢れる観察眼と文章であらためて紹介してくれる。そこには意外な事実や新しい発見に満ちている。奇跡的にオニヤンマを捕まえてひと夏ヒーローになった事や、東京に出て来た時最初に渋谷の志賀昆虫を訪れた興奮が蘇る。タマムシの色の秘密や命がけのカマキリのセックスに惹かれる。女スパイみたいなアカイエカが健気に思えてきてこの夏少しくらい血を吸わせてあげようかなあとも思った。2015/06/08
えっくん
29
★★★★★50種の昆虫たちの生態を紹介したエッセイ集。毒草を食べて体内に蓄積するジャコウアゲハの幼虫。飲まず食わずで卵を守り続け、孵化した幼虫に自らを餌として提供するハサミムシ。成虫になると餌を摂取することなく僅か1日で死に絶えてしまうカゲロウ。科学反応で高温ガスを噴出するゴミムシなど不思議な虫たちの生態には驚くばかりでした。いったいこの小さな生き物がどのように知恵を身につけたり、進化していったのでしょうか。各エッセイの最後に著者が論じる言葉にも人間が虫から学ぶべきものが多いことに気付かされます。2016/02/07
姉勤
29
「身近な」と云っても、都市化や開発が進み近頃はとんとお目にかかれない虫たち。多少緑があり、草むしりも時々にやらなければたちまち茫々と化す庭がある身には、見る目が変わる雑学帳。50近くの虫に精緻なイラストと知識欲をそそる情報が、数ページに詰っている。不思議なのは、毒の調合や擬態、派手な模様やメタリックな甲殻の仕組み、更にはロケットと同じ仕組みの屁っ放り虫のガス防禦。他者が計算し尽くしてデザインしたかの様な虫の不思議。虫を愛でよう。2015/05/08
Yamazon2030
20
2016③読了虫たちの生き方というか、生存戦略に感動した。イクメンする虫。幼虫に親自身の身体を食べさせる虫。成虫になるまで排便しない虫。人間の方が高等生物だとのおごりを、この本を読んで打ちひしがれた感じがした。短くて読みやすい文体。必ずオチまでつけるエッセイ。稲垣さんは研究者なのに、読ませる文章を書く!いいエッセイの勉強にもなりました。これは執筆のネタになるなぁ〜2016/01/23
み
17
感想を読んで気になった作品。面白かったぁ♪昆虫には彼らなりに策があるのね。紹介の仕方がとても読みやすくって、この作家さんの雑草のも気になります(^o^)でもね、Gがヒーロー、蚊がヒロインとは…。2015/01/11