内容説明
東京の路地裏を歩き、酒場の扉を開けば、あの頃の記憶と夢と現実とが交錯する。歌だけでは食えなかった頃の洲崎、心が重くて壊れそうだったあのときの歌舞伎町、高田渡を追いかけた吉祥寺、地見屋のシゲちゃんに出会った東京駅の八重洲口…新宿、深川、銀座、浅草、本郷、上野、神田…。酒場の思い出、出会った人物の面影、酒と紫煙と、音楽…文章と写真でつづる私的東京町歩きの記。
目次
第1章 町と時間を彷徨う(新宿を彷徨う;“70年代”新宿物語;近いがゆえに、遠い街・銀座;銀座居酒屋道 ほか)
第2章 今の町を歩く―江戸探し行脚(日本橋から品川へ;勝手知ったる深川を歩く;司馬遼太郎の本郷界隈を歩く;気がつけば神田にいる ほか)
著者等紹介
なぎら健壱[ナギラケンイチ]
1952年東京銀座生まれ。70年中津川フォークジャンボリーに飛び入り参加したことがきっかけでデビュー。以後、音楽のみならず、映画、テレビ、ラジオ出演、雑誌の執筆など幅広く活躍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
saga
50
2023年現在、なぎらさんの著作のほとんどが入手困難になっている。特に、写真集が新刊で読めないのは残念だ。神田に生まれ、御城下町(おしろしたまち)の空気を、身をもって知る著者。売れないフォークシンガー時代の話も良かったが、都電荒川線案内は「ぶらり途中下車の旅」を彷彿させて、鉄道ファンで街歩きが好きな自分好みの文章だった。東京は、古き良きものを捨て去っていく街だ。昭和、平成も遠くになってゆく。2023/06/04
ヨノスケ
16
なぎら健壱さんのエッセイ。この本を読むと「昭和っていい時代だったな」と思う。お酒による失敗談や懐かしいフォーク歌手、どれを取ってもほろ苦い郷愁がなんとも言えずよみがえってくる。最近はカメラ片手に旅番組に出演しているなぎらさんだが、なぎらさんにはお酒が何よりも似合うと思う。そう、いつか東京下町をお酒片手に巡る作品を期待している。2024/01/04
かもめ
15
著者が若い頃のお酒に関するエッセイ。東京各地を当時の風情を事細かく紹介して、タイムスリップしたような昭和レトロを満喫できる。池袋で、チャリティーイベント詐欺の話にびっくり。呑み友や仕事の話など、愛おしく綴られている。青春時代は無茶な飲み方をしていたようだ。2020/12/09
けんとまん1007
11
路地裏・・・いい言葉ですね~。東京に限らず、そこには人の息遣いや、温もり、思いなどが溢れていますね。だからこそ、人は吸い寄せられるんだろうなあ。飲み屋もそう、路地裏にあるようなところが、とても美味しいところが多いと思う。まあ、これは、自分の懐事情と好みにもよるんだろうが。2013/11/13
酔いよい
2
私も 街をぶらぶら散歩しながら写真を撮ったりするのが好きなものだから、こういう本を読むのは 実に楽しい。まぁ 私の場合、なぎらさんのように 必ずしも 散歩のシメは 飲み屋でチョイと一杯というわけではないのだが(笑)。なぎらさん独特の「あたし」という一人称でつづられた文章と、なぎらさん目線で切り取られたモノクロ写真の数々は、なかなか味わい深いものがあった。私の散歩の友にしたい本である。2013/04/28
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