出版社内容情報
読書は速度か? 分量か? ゆっくりでなければ得られない「効能」が読書にはある。名書評家による読書術。未収録書評を増補。
内容説明
読書は速度か?読書は分量か?ゆっくりでなければ得られない「効能」が読書にはある。本を読むこと本来の「快」を取り戻すための、反“速読”・反“多読”術。「読むリズムが快くきざまれているとき、それは読み手の心身のリズムと幸福に呼応しあっている。読書とは、本と心身とのアンサンブルなのだ。」文庫化にあたり、単行本未収録エッセイを大幅増補。
目次
第1部 遅読のすすめ(ゆっくり読む;幸福な読書;暮しの時間;大食いと多読;読書の周期;本を手にして)
第2部 本が好きになる本の話(本が好きになる本の話;読書三到;文庫つれづれ)
著者等紹介
山村修[ヤマムラオサム]
1950年生れ。慶應義塾大学文学部フランス文学科卒業。青山学院大学図書館司書の傍ら、“狐”のペンネームで1981年2月から2003年7月まで1188本の書評を日刊ゲンダイに発表。2006年逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
獺祭魚の食客@鯨鯢
72
今は亡き読書家の読書について含蓄深い読書論です。 「読んだ本」とは本人にとっての読み終わったということであり、映画で言えば観終わったのと同じです。精読したか読みとばしたかどうかは問われません。 著者は立花隆の多読は読書でなく知りたいことを探す「調査」「参照」であるとしています。現代は検索サイトがあり情報は入手できるのでこのような意味での「多読家」は少なくなると思います。 読メで言えば、投稿するのは面白いという感動を共有し、読んでみたいという気になってもらう場でありそれまででよいと思います。 2020/02/14
おいしゃん
55
「禁煙の愉しみ」に続き、ひと味変わった視点の山村エッセイ。月に20冊以上読む自分としては、ところどころドキッとさせられたが、遅読しなければ見えてこない読書の楽しみもあるんだろうな、と感じさせられた。2017/06/17
i-miya
49
2013.09.22(初読、初著者)山村修著。 (カバー) ゆっくりでなければ得られない「効能」が読書にはある。 (山村修) 1950生まれ、慶應義塾大学文学部フランス語科卒。 「狐」のペンネームで「日刊ゲンダイ」に、1981.02-2003.07、青山学院大学図書館司書の側(かたわ)ら発表。 『狐の書評』(「本の雑誌社」)。 2006、逝去。 (解説=佐久間文子=『あえて「遅読」の看板かかげて』) 読書家、どうしても多読、速読に走る、誇る。 2013/09/22
i-miya
46
2013.10.02(つづき)山村修著。 2013.10.02 小林信彦『小説世界のロビンソン』(1989)。 倉田卓次、「読書の時間を考えるということは、読書を含めた暮らし全ての時間を考えることである」 ◎単行本あとがき。 第二部、本が好きになる本の話。 1章、同。 ◎不意打ち本、こころ時めく。 蓮実重彦・山田宏一『傷だらけの映画史』(中公文庫)。 ◎藤原カムイ。 ◎ヘルマン・ヘッセ『雲』。 2013/10/02
i-miya
45
2013.10.09(つづき)山村修著。 2013.10.08 P221. 松虫~謡曲。 作者不詳の曲。 津の国の阿倍野、市に出て酒を売る男(ワキ)、若者(シテ)、飲んで帰る。 若者、「松虫の音に、友を偲ぶ」話。 二人連れの一人が虫の音をしたい行きしに、帰らざりし。 かの者、草露に臥して空しくなる。 残された友もあまりの悲しさに自害して果てる。 それが前場。 後場では亡霊(二人のどちらかなのかもわからない)、忘れえぬ友の懐かしさを語る。 舞い納め。 世阿弥の長男、観世○雅のつくった『弱法師(よわぼし)』。2013/10/09