内容説明
耽美的な映像を追求した映画監督鈴木清順は、達観したエッセイの名手でもあった。大正時代の空気を吸い込み、戦時下の暴力によって鍛造されたその洞察は、生きることの悦びも哀しみも透徹した。桜の無常に感嘆し、理論には舌うちをする虚無的な精神が、虚と実のあわいを絶妙にすくいとっていく。ノスタルジアと諦念と意地が結合し、粋を体現した随筆の精髄。
目次
ゆきあめかぜ
日記から
縄張り
犬の顔をした水鬼
路地は相変わらず静かだった…
生れたとしが大震災
東京語と地方語
味
あだ花
洋パンと『野良犬』と自動小銃〔ほか〕
著者等紹介
鈴木清順[スズキセイジュン]
1923年東京生まれ。旧制弘前高校に入学後、43年に二等兵として陸軍に入隊。終戦後に復学し、48年に松竹大船撮影所に入社。54年に日活へ移り、『けんかえれじい』(1966年)、『殺しの烙印』(1967年)などを発表。68年、日活から一方的に解雇を宣告され、告訴。10年の沈黙を破り、77年に『悲愁物語』を公開。以後、『ツィゴイネルワイゼン』(1980年)、『陽炎座』(1981年)などを次々と発表。2001年に勲四等旭日小綬章を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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4
「畏友美術監督」畏友とは、清順映画の独特の世界観をを作りあげた、美術監督・木村威夫の事で、盟友との思い出話を小粋に飯と酒に託つけて語る。木村さんのお人柄が見え、清順が如何に畏敬の念を抱いていたかがわかる。特に木村さんが偉人たちの交友関係を調べる癖を清順は真似て、人と人の出会いの機微を探る習慣が出来たと語っていた。他、「洋パンと(野良犬)と自動小銃」が出色。清順の映画観が存分に詰まったエッセイ集で読む価値はおおいにある。2014/08/06
パロンヌ
1
小説は読むものではなく見るものである、映画に思想性、政治性は付与できない、といったところはうんうんとなる2014/07/25
シミバチョフ
1
ジャケ買い。(勿論、清順映画ファン2011/09/26
ネムル
1
過激な暴力を筆に任せて書きなぐったような文章の羅列。これは病みつき。2011/02/16