内容説明
著者は、マイナーな分野の専門家としての独特な視点から東欧・中欧文化を研究し、ユニークな業績を遺した。しかもそれにとどまらず、豊かな趣味人であり無類の愛書家・古書好きでもあった。研究の合間に書き綴ったエッセイの中から、戦前のハンガリーでの留学体験や長い研究生活の間に出会った人々や書物、ヨーロッパの古書店などについて自在に語ったエッセイ集。
目次
モルナールと「リリオム」
モルナールについて
「リリオム」の俳優たち
鴎外とハンガリー作家
ハンガリー随想
ハンガリー史点描―映画「密告の砦」の歴史的背景
ブダペストの古本屋
古書の旅
ヨーロッパの古書店めぐり
東欧の古書店再訪〔ほか〕
著者等紹介
徳永康元[トクナガヤスモト]
1912‐2003年。東京・小石川生まれ。東京帝国大学文学部(言語学科)卒業。ブダペスト大学留学。文部省民族研究所助手、東京外国語大学教授、アジア・アフリカ言語文化研究所所長、関西外国語大学教授を歴任。東京外国語大学名誉教授、関西外国語大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ume-2
4
昭和57年に、著者がそれまで様々な形で著してきた文章を編んだものです。演劇プログラムから古書通信、全集に宛てた月報まで出典はそれこそ多岐にわたります。ハンガリーとの結びつきが有名な方ですが、とても素敵な生き方ですね。本当に彼我の所有する時間は一緒なのでしょうか?これだけの情熱をぶつけるに彼は眠っていたのでしょうか?好奇心の塊とはこのような方を言うのではないでしょうか?自己嫌悪に陥らないよう言い訳すれば、現代は情熱の対象が人を凌駕する巨大さで我々を囲んでいるような気がします。過去の偉人に大いに触発されます。2017/06/09
pushuca
2
珠玉の随筆が並ぶ。2025/07/09
真塚なつき(マンガ以外)
2
ひとつ前に痕跡本について読み、本書にも古本の書き込みについての随想があったはずと、ついでに通読した。小文ばかりなのに好みでない文章にあまり興趣をそそられずだいぶ時間がかかってしまったが、古本屋通いの話が幾度もでてくるため、古本屋に行きたくなって仕方なかった。ハンガリー文学や外語大についてなど、今後の読書の取っ掛かりも幾つか得られた。2024/01/30
さんとのれ
2
この著者と言いこの本に登場する人たちと言い、この時代の人たちの教養の高さは一体何なんだ。2016/08/31
リョウ
2
著者は戦前にハンガリーに留学し、戦後も学会などで何度となくブダペストを中心にヨーロッパを巡った学者。特に古本屋巡りについては趣味の領域を超えるほどに没頭しており、戦前、戦後のヨーロッパの事情が垣間見える。2014/10/30