内容説明
大阪といえば、食い倒れ、吉本興業、ど派手、そして、親しみのある街。そんなイメージを持っていた著者は何回も足を運ぶうちに、庶民の逞しさの裏にある哀歓に気づく。目を凝らし、耳を傾けて見つけた、大阪の新たな魅力。大阪には不案内の森まゆみ、知り尽くした写真家太田順一、二つの視線が捉えた大阪とは?二十世紀が二十一世紀に変わる頃の大阪の街の姿を書き留める。
目次
アメリカ村―正反対がチャンプルーする町
道頓堀から法善寺横丁―あれもこれも食べたい心情、見抜かれて
天神橋筋商店街―全長三千メートル、元気のモト
中之島かいわい―旦那衆の心意気と女言葉の美しさ
梅田かいわい―梅田周辺の古くて、新しい貌
鶴橋―東京人、なすすべを知らず
上町台地―寺と坂の散歩道を歩く
住吉大社―千年二千年のいにしえに心とぶ
新世界―華やかなりし時の、まぼろしを見た
京橋―七変化する町での遊びたおし〔ほか〕
著者等紹介
森まゆみ[モリマユミ]
1954年東京都生まれ。84年、地域雑誌『谷中・根津・千駄木』創刊。近代建築の保存や上野不忍池保全などにも関わり、NTT全国タウン誌大賞、サントリー地域文化賞を受賞
太田順一[オオタジュンイチ]
1950年奈良県生まれ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
350
私は大阪府の生まれだが郊外だったので、大阪は住むところではなくて行くところだった。大阪を離れて久しいが、いまだに大阪で一番好きなのは、フェスティヴァルホール周辺から中之島界隈と、大阪でありながら大阪らしくないところ。本書は東京生まれで東京育ちの森まゆみさんによる大阪取材記。案内者がいたとはいえ、なかなかにディープな大阪だ。おそらくは大阪人でも知らなかった大阪がこの本の随所に潜んでいるのはないだろうか。なお、漫才、喜劇のヨシモトは大阪弁ではなくて、河内弁なのだそうだが、それすらも初めて知ったような次第。2018/06/25
Shoji
39
東京の著者が大阪の街をを歩いて感じたことを綴ったエッセイ。 決して観光案内やグルメ本などではない。 大阪を褒めたたえることもなければ、もちろん上から目線でもない。 非常に読みやすいタッチで綴られていた。きっと著者は大阪が好きなんだろうな。 「鶴橋。東京人はなすすべがない。」と書かれていた。確かにそうだと思った。 東京の新大久保にある「イケメン通り」。鶴橋にはそんなものはない。 せいぜいあるのは「キムチ通り」に「焼肉通り」。 生活感が剥き出しで漂う街。これがまたええねん!2016/05/14
岡本匠
12
最近読んでいたのは京都に関する本が多かったけれど、これはタイトルの通り大阪本。絹延橋うどん研究所で開催された一箱古本市の川西空想書店で購入。大阪の外れ北摂は池田市で生まれ育ったのだけれど、大阪市内との距離感は相当あったと思う。環状線は乗ってはいけないと教えられていた。でも、大人になって、お酒を飲めるようになると世界や世間が広くなった。大阪のあちらこちらを歩くようになった。この本に書かれている場所は全部歩いていると思う。でも、全てを知っているわけではない。自分として、その時間のその場所にいただけに過ぎない。2018/06/03
MURAMASA
6
お盆休みを利用して、職場の仲間と大阪旅行。その往復車内でのお供として選んだのがこの本でした。筆者は前半「東京と比較しての大阪」についてよく触れているけれど、後半は「大阪という場所」自体を感じ、楽しんでいる様子が伝わってきます。私も何度か大阪に行きましたが、あったかい感じがいいですね。ちなみに今回の大阪旅行の収穫は、京セラドームで観戦した中日×阪神戦の、ムチャクチャおもしろいヤジを飛ばすおっちゃんでした。さすが本場は違った。これも、大阪。2009/08/12
いちはじめ
4
勝手知ったる東京ではなく、大阪の町歩きエッセイ集。この人の取材対象との間合いというのか、距離感というのか、絶妙だと思う。2009/06/16