出版社内容情報
ちくま日本文学019 永井荷風
江戸文人の風雅を生き
生涯、街歩きに淫した人
目次
あめりか物語より
ふらんす物語より
すみだ川
西遊日誌抄
日和下駄―一名東京散策記
〓(ぼく)東綺譚
花火
断腸亭日乗より
【解説: 小沢信男 】
内容説明
江戸文人の風雅を生き、生涯、街歩きに淫した人。
著者等紹介
永井荷風[ナガイカフウ]
1879‐1959。東京・小石川の生まれ。本名壮吉。別号断腸亭主人。若いころより芝居や寄席、遊里に遊び、文学に親しむ。二十代の西欧体験をもとに「あめりか物語」「ふらんす物語」を発表。一時、慶応の文科教授、「三田文学」を主宰。ついで「日和下駄」「腕くらべ」「〓(ぼく)東綺譚」。戦争中は世相を黙殺して江戸戯作の世界に遊び、戦後は巷の老独身者として浅草を愛した。日記に「断腸亭日乗」がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
40
自分を模索しているような雰囲気を感じました。2022/02/19
優希
38
再読です。時代の空気感を感じる作品でした。自分を模索する様子を描いているのに興味を惹かれます。古き良き日本の風景も見ることができました。2023/10/26
佐島楓
13
アメリカとフランスに滞在していた荷風は、常に孤独を感じていたのではないだろうか。人種的、文化的な差異以上に、心情的に独りではなかったか。日本で綴られた文章の安定感を見ると、そう疑いたくもなってくる。当時としては実に変わった人物だったに違いない。その変わったところが武器にもなり、しかも誰よりも日本人らしい日本人だったのだろうと思う。2013/01/02
nightowl
3
長生きした中から、明治末期〜終戦までの時代の空気を感じる選集。最後まで読み終えると、ひとつの時代が変わる流れを感じるよう。外国滞在時は愚痴りつつ、日本ではのほほんと散歩しながら穏やかに暮らしていた世界がきな臭くなるのを「花火」辺りからじわじわ解り始めるのが怖い。晩年の作も読みたくなる。解説は...荷風の危機感を感じ取っておらずちょっと気が抜けている...2022/03/26
ゆきだるま
3
永井荷風をたぶん初めて読んだ。アメリカ、フランス、と留学して、自分の生き方を模索してる様子、それが随筆や小説に書かれてて興味深く読んだ。あと『すみだ川』はレビィ・ストロースが触れてて、たしかに古きよき日本の風景描写がよかったな。「日和下駄」は東京散策記。テレビ番組にもなりそうな。道、植物、水、寺、路地、空き地、崖、などなど。たびたび、古きよき日本の風景が失われてゆく、みたいに書いてて、いまの東京を見たらどう思うだろう、と思った。2020/11/23