出版社内容情報
ちくま日本文学016 稲垣足穂
宇宙の果てからやってきた、妖しくも切ない物語たち
目次
一千一秒物語
鶏泥棒
チョコレット
星を売る店
放熱器
フェヴァリット
死の館にて
横寺日記
雪ヶ谷日記
山ン本五郎左衛門只今退散仕る
空の美と芸術に就いて
われらの神仙主義
似而非物語
タッチとダッシュ
異物と滑翔
【解説: 佐々木マキ 】
著者等紹介
稲垣足穂[イナガキタルホ]
1900‐1977。大阪・船場の生まれ。幼いころ兵庫県の明石に転じ、神戸界隈で育つ。少年時代はヒコーキに熱中。関西学院卒業後、上京。はじめ飛行家、ついで画家をめざした。文学に転じたのち佐藤春夫の知己を得て「チョコレット」「星を造る人」を発表。イナガキ・タルホの名前で「一千一秒物語」を出す。放浪生活のかたわら、文壇とは遠いところで独特の作風による小説を書きつづけた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
44
星や月が好きで遊んでいるように見えました。そこに広がるのはファンタジックできらめいている世界です。星一面の空が好きになりました。2022/03/01
優希
35
再読です。足穂はメルヘンの世界が好きなのですね。月や星、太陽で遊んでいる印象です。ファンタジックできらめく一面の星が見えるようでした。2023/10/26
あんこ
24
クラフト・エヴィング商會装丁のものがなかったので、こちらで読みました。理論的なところは完全に理解するには至りませんでしたが、短編の方はとても好きでした。長野まゆみさんも足穂を読んでいたのかな、と思わせるようなところがあったり、特に一千一秒物語はテンポもよくて想像するのが楽しかったです。大人の童話。商會のクラウドコレクターに描かれた「自分の背中を見る望遠鏡」は足穂の影響があったのですね。新潮文庫から出ている方も収録されているものがちがうようなので近々読みたいです。2014/03/22
風に吹かれて
22
足穂は夜空を見るのが好き。好きなだけでなく、星々と共に生きている。『一千一秒物語』は短いメルヘンがたくさん収められているが、星やお月様が登場するものが少なくない。読み始めると、不思議な世界にビックリしたが、馴染んでくると、その素敵な世界に魅了される。 →2022/05/25
かごめ
19
飛翔というより浮遊?魂を解き放ち彷徨う足穂の世界。足穂は男だ。女にはできない。女は子供を宿し産んで乳を飲ませる期間、それは現実に他ならない。それも充実した時間ではあるが月も星も天空にある。夢はみるがそれもいささか現実的ロマンス、のような…。足穂の月や星は流星でなくても街角に、酒場に、サイダーの瓶の中にいたりする。喧嘩もするし…しかしロマンスはなかったような気がする。足穂に妻はいるが、ある意味で女性は必要なかったのかもしれない。2018/05/08