ちくま文庫
福の神と貧乏神

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  • サイズ 文庫判/ページ数 225p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480424907
  • NDC分類 387
  • Cコード C0139

内容説明

恵比寿、大黒天、弁才天、毘沙門天、布袋、福禄寿、寿老人。これら七福神が幸福をもたらす「宝船図」は、私たちにお馴染みのものだ。「打出の小槌」なども、昔の人たちの豊かさへの願望を表したものといえよう。本書では、こうした昔話や伝承、福神信仰などを手がかりに、日本人が古来抱いてきた「富」や「福」の観念の背後に何が潜むのかを解明していく。

目次

第1章 「七福神」物語の世界
第2章 福をさずける神々
第3章 厄を祓い、福を売る
第4章 長者と貧者
第5章 福神信仰の民俗化
第6章 昔話のなかの「福の神」と「富」
第7章 「富」はどこからくるのか

著者等紹介

小松和彦[コマツカズヒコ]
1947年東京都生まれ。東京都立大学大学院(社会科学研究科)博士課程修了。現在、国際日本文化研究センター教授。民俗学、文化人類学双方を視野に入れ、一貫して鬼、妖怪、呪術、憑依といった日本文化の奥深くに潜む「闇」を透視し、日本人の心性を浮かび上がらせる特異な文化論を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

in medio tutissimus ibis.

5
昔話における貨殖の因果物語は結果から原因を探し求める語りであり、異界からの与奪を受ける開放系にせよゼロサムゲームの閉鎖系にせよ、変動の少ないムラの社会はついに経済的変動の多いマチの論理を理解するよりも神秘的な説明を求めたのだ――という論を展開しつつ、バブル崩壊と経済の停滞は日本人が本当の幸せを見失ったからだという「道徳的」な語りによって本書が始まり終わるのは中々に高度な諧謔に思える。つまりはそれ程に人間は経済を統計を複雑系を理解し難く、またその理解し難いという現実を認められないという事なのかも知れない。2019/11/02

ダージリン

3
一発逆転の成り上がりが農村では起こらないというのはなるほどと思った。確かに都市的な貨幣経済の場でなければ富が富を生む式の短時日での出世はあり得まい。その他、笠地蔵が授けた金銀の出所についてや、打出の小槌はささやかな願いのみにしか使われないという点など、これまで考えたことがない視点があり、なかなか面白い論考だった。2015/10/25

三月★うさぎ

2
民俗学、面白いですよね。もっと若いときに出会ってたらどうなってただろう。2009/03/14

sikamo

0
今も昔も人の世は世知辛い。2016/05/13

寺内町亭小天狗

0
福の神と貧乏神とでは、どちらの神様に見守られていたいか。云わずと知れた福の神ではないだろうか。読んでいると、階級制度(士農工商)が作られた存在の意味とどうして階級から外れた人たちが存在したのか理解できた。 『橋のない川』[全七巻](住井すゑ著)を読むことで疑問点を解決できると思ったが、この書籍でなっとくした。道徳教育には、この一冊です。

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