内容説明
フォークソングが一世を風靡した頃、奇妙な曲「自衛隊に入ろう」が話題になった。「あたりさわりのないことを歌いながら、皮肉や揶揄などの香辛料をパラパラふりかけるやり方が好き」な高田らしいデビュー曲である。以後、世の流行に迎合せず、グラス片手に飄々と歌い続けて40年。いぶし銀のような輝きを放ちつつ逝った、フォークシンガー高田渡の酔いどれ人生記。
目次
序章 自衛隊に入ろう
第1章 貧乏なんて怖くはない
第2章 初めてのレコードからかれこれ三十年
第3章 普通の人々の生活を歌に
第4章 旅のおもしろさはなんといっても人と街
第5章 文化鯖が大好き
第6章 「街の記録写真家」
第7章 今日も僕は「いせや」で焼酎を飲む
著者等紹介
高田渡[タカダワタル]
1949年、岐阜県に生まれ東京に育つ。中学卒業後、昼間は印刷会社で働き夜は定時制高校に通う生活を送る中、アメリカのフォークソングに傾倒し曲を作りを始める。68年、フォークキャンプで『自衛隊に入ろう』を唄い注目され、翌年『高田渡/五つの赤い風船』でレコードデビューを果たす。自作のほか、演歌師や山之口獏をはじめとする詩人の現代詩に曲をつけるというスタイルを確立。そんな独自の手法でフォークソングを次々と送り出し、40年近く全国各地で唄い続けた。05年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
TSUBASA
31
私が子供の頃、母がフォークの番組を観てる時に「この仙人みたいな人が高田渡だよ」と教えてくれて以来、この人はフォークの仙人と勝手に思ってる。そんな高田渡氏の来歴と好きな音楽、映画、詩、旅、酒について語る自伝。気ままな人というイメージが強かったのだけど、その実詩人であり、口先だけでない反骨精神にあふれる芯の通った方だった。貧乏を過ごしてきた方だからこその頭でっかち嫌いとか、声高に反対を叫ぶのではなく皮肉によって反体制を呟く所とか、人情味を大切にする所とか好きだ。2018/04/15
chanvesa
29
「若いころに『オレは絶対に変わらないよ』と公言してはばからなかったヤツにかぎって変わっていたりする。言わなければいいのにと思う。(138頁)」高田渡さんのはにかんだ美学だ。自分に素直で嘘をつかない人の怖さ。「たまにいせやにも場違いな若者がドカドカとやって来ることがある。(254頁)」社会人になって間もない頃に友達数人といせやに行ってしまった。昔の店舗だったので、煙くて、すきま風が寒くて酒をたいして飲めない私はいくら食べてもお腹いっぱいにならなかったが、そういうヤツは行ってはいけないお店だったのだ。 2017/10/08
阿部義彦
24
今は亡き生粋のフォークシンガー高田渡さんの全てがこの本に詰まっています、表紙の和田誠さんの挿画を含めて完璧な一冊。はっぴいえんどと同じURCレコード出身。誰よりも先にはっぴいえんどを評価し、後に大瀧詠一がこう言った「いいと言ってくれたのは高田さんが一番最初だった」『歌というものは、まず聞いてみて好きか嫌いか、それでいい。理屈をつける必要などまったくない。』母を早くなくし、父親の手で育てられ極貧を味わう、そのせいもあり、中学では一人私服で通す。ピート・シーガーに憧れ、群れずに自己を貫き通した人生。2024/07/31
tama
17
図書館本 装丁が和田誠さんなので 高田渡は聴かないし、日本フォークも好きじゃない。でも読みだしたらスムースだった。「詩は・・・ユル便じゃないのだからダラダラ出せばいいというものじゃない」同感。中年オヤジが死んだ祖母を歌った曲ですとか言ってユル便を長々とやられたときは吐くかと思った。山口県の喫茶店でコーヒーを頼んだらスプーンの上にビタミン錠剤が二個載ってたとか。で、読後フォークソングに対する私の意識が変わったかと言うと「全然!」。一番嫌いなのは「応援」と称して「自己陶酔」やってるジジババフォークだな。2016/05/03
gachi_folk
15
ずいぶんと前に吉祥寺「のろ」のトイレの前で渡さんと鉢合わせた。あたふたしていた僕に「お若い方からどうぞ」と先を譲ってくれた渡さん。露払いの気持ちで用を足した。今日は渡さんの命日。FISHIN’ ON SUNDAY を流し続けた。2020/04/16
-
- 和書
- スープとパン
-
- 電子書籍
- 神曲奏界ポリフォニカ クリムゾンS4 …