内容説明
戦後マンガの発展は、SFから始まった。初期の傑作をすべてSFという形で描いた手塚治虫。重なり合う勃興期のマンガファンとSFファン…。映画・小説などSF界全体の流れをも参照し、独自の「少年マンガ発展史」として綴る。『戦後少女マンガ史』に続く、資料として使え、読み物として楽しめる“マンガ史三部作”の第二弾。
目次
第1章 SFマンガ前史
第2章 手塚治虫の時代
第3章 少年マンガの爆発
第4章 SF播種計画
第5章 異次元進化
第6章 少年SFマンガ最後の光芒
第7章 SFの長い午後
第8章 SFゲットーに向けて
第9章 ブームのさなかに…
終章 果てしなき明日
著者等紹介
米沢嘉博[ヨネザワヨシヒロ]
1953年生まれ。漫画評論家。明治大学在学中から漫画批評家集団「迷宮」に参加。迷宮の同人として1975年からのコミックマーケット開催に加わり、1980年から2006年夏までコミックマーケット準備会代表を務めた。主な著書に『藤子不二雄 FとAの方程式』(日本児童文学学会賞受賞)など多数。編著に『発禁本』(日本出版学会賞受賞)など。2006年10月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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へくとぱすかる
47
ようやく読了。1980年の原著であるが、「戦後」のSFマンガ史として区切りをつけた1冊。大多数の作品が「SFマンガ」というカテゴリーに含まれてしまうと、結局はマンガ自体についての記述となるしかない。対立する(?)はずの「ギャグマンガ」ですら、部分的に重なり合うほど包括的な枠だと思う。手塚治虫に始まっても、吾妻ひでおに終わるところが、いかにもという感じ。2018/07/30
いちはじめ
3
元版は1980年に書かれた。ちょうど日本のSFやマンガが大きく変わろうとする頃合いで終わっているのが惜しまれる。とはいえ、大変な労作であることには間違いない。2008/08/17
午睡
2
絵柄も断片的にストーリーも覚えているのに、その漫画家と作品名がどうしても思いだせない。SFの「盗まれた町」を彷彿とさせるストーリーで、御厨さと美なみの画力なのに、と長年気になっていたのだが、これならと思って本書を読みはじめた。結果、379ページに登場する平野仁という名前が正解だった。ついに再会!さっそくAmazon unlimitedで「少年の町ZF」を一気に全9巻を読む。ハッと思い出すコマ多く、なぜこれほどの漫画家と作品を忘れていたのだろうと思う。原作の小池一夫、今更ながらだが端倪すべからざる才能!2019/12/08
山田太郎
2
資料としてはすごいかもしれんが、読み物としてはあんまり面白くない。2008/10/18
いか
1
吾妻ひでおはSF的素質があるのだが、手塚的な丸い「少年マンガ」スタイルなのでコメディ、ギャグということになっているという指摘は面白い。今、手塚的な丸いキャラクターで壮大な物語を語ることが、再び可能になりつつあるように思う。2019/05/25