内容説明
日本古典を読みはじめたい、もう一度読みなおしたい、と思う読者のための古典入門書。二部構成の第一部はいわゆるものづくしと随想の段から代表的なものを抜粋し、読みやすい現代語訳に、適切な語釈、読みごたえのある鑑賞を付す。第二部は宮廷生活の描写の段を時代順に再構築し、オリジナルの「加工訳」と鑑賞で、初学者にも一読で楽しめる工夫を凝らす。
目次
第1部(四季の美しさ―第一段;法師というもの―第四段;節句の天候―第七段;宮仕えさせるべき女性―第二一段 ほか)
第2部(初出仕のころ―第一七六段;中関白家栄華の日―第二六〇段;道長がひざまずく―第一二三段;宮からの手紙―第二八二段 ほか)
著者等紹介
大伴茫人[オオトモノボウジン]
古代大伴氏の末裔を気取ったペンネーム。本名田村秀行。1952年東京生れ、京都大学文学部卒。大手予備校勤務を経て、現在フリーの講師として現代文・古文・漢文を総合的に担当する。本名でも『だから、その日本語では通じない』(青春出版社)ほか学習参考書多数。ネットでは『源氏の部屋』の「古典への架け橋」に多数の作品を掲載(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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の
5
古典に興味はあるけどなかなか読み方が分からないという人(つまり私)向けです。鑑賞の作法が載っているのが嬉しい。時代背景や装飾品は言わずもがな、国語教科書では分かりづらい古語の細かなニュアンスまで詳しく説明されています。少し現代語訳が不自然な気がしましたが、それも現代語と古語との埋めようがない感覚の違いだと思えば、それもまた鑑賞の楽しみ方の一つになります。2010/10/01
Caivs Marivs
2
雅、かつ奥ゆかしき平安文学の頂点の一つ、枕草子を、ある種のプロパガンダとして再構成した初心者向けの本。そう、道真公は雷神となり、崇徳院は怨霊となった。また、六条の御息所は葵の上を産褥の場にて殺した。だが、中宮定子がそのような存在にならなかったのは、清少納言という鬼才が、彼女個人のすばらしさを書き残したが故なのだ。良きプロパガンダとはどのようなものかを学ぶことが出来、その上で春の曙の良さと彼女がなぜ著書を残すことが出来たのかを知ることの出来る良書である。2013/04/07
れどれ
1
枕草子は第一段「春はあけぼの…」の魅力をいかに解剖してくるか次第で、編者の力学が問われる感がある。この本の"鑑賞"文はそこからして信頼できたのでこちらの没入度も深まり、たいへん面白く読めた。清少納言その人の美点を最大限伝えたいという熱量が放たれすぎてあまりある。時代背景、人物相関の紹介も親切。「これは」と胸打たれたページに折り目をつけてしまう癖のある自分だが、読み終わる頃には本の厚みが一角だけ増してしまった。2017/01/21
Hatsumi Sakoda
0
友達にするなら清少納言かなあ。実は健気だったりするし。美意識が合わないと、揉めそうだけど。2015/05/18
けん
0
同著者(田村先生)の「徒然草」は、解説が全くなかったので、残念な思いで「ブックオフ行き」としたが、こちらの著書はたくさん先生の声が聞けそうなので、期待していた・・・のだが、「あれっ!全く面白くない。」というのが第一印象。「初学者にも一読で楽しめる」と裏にあったのに、解説も難しめだし・・・。そもそも、「枕草子」自体に、読んで得るものがなく、「女性目線の内容と宮廷話に全く興味が持てない」ので、「誰が解説しても無理なのかな?」と思った。「飛ばし読みで読了」したが、「田村版 枕草子」も「ブックオフ行き」に決定!2019/01/13