内容説明
太平洋戦争中、人々は何を考えどう行動していたのか。敵味方の指導者、将軍、兵、民衆の姿を、著者の蒐集した膨大な資料を基に再現。開戦の日昭和16年12月8日と終戦にいたる昭和20年8月1日から15日までの、同日同刻の記録が戦争に翻弄された人間の狂気、悲劇、愚かしさを焙り出す。
目次
最初の一日
最後の十五日
著者等紹介
山田風太郎[ヤマダフウタロウ]
1922年、兵庫県養父郡の医家に生まれる。『甲賀忍法帖』『くノ一忍法帖』などで数々の“風太郎忍法”を生み出し忍法帖ブームをまきおこす。1997年第45回菊池寛賞を受賞。2001年7月28日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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鉄之助
220
地道に「事実」だけを積み上げた、画期的な1冊だった。山田風太郎が、まえがき、で宣言している。太平洋戦争を語る手段として、「真実ないし事実と思われる記録だけをもって再現してみたい」。広島に原爆が投下された昭和20年8月6日、同じ日に青森県三沢基地では、陸軍空挺隊などがテニアンやサイパンに強行着陸しB29やガソリンタンクを焼き払う訓練をしていた。何とその攻撃手段が、オートバイと自転車! おまけに、この訓練を高松宮や小沢司令長官が視察していた、のだ。日米の、この何たる落差。何万語を使い語るより事実の重みを感じる2024/09/12
kinkin
86
来年は太平洋戦争が終わって80年。もうその実態を見聞きした人々はほんの僅かだろう。この本は戦争の始まる昭和16年12月8日と、終戦に至る昭和20年8月1日から終戦の日8月15日までを著者はじめ日米軍人、俳優、作家他、指導者、天皇そして民衆の語ったことをまとめた本。世界に目を通せば世界大戦が始まるような緊張感が出始めている気がする。悲惨な結果しか残らない戦争、なんとか忘れずに記憶と子孫に伝えていかなければいかないと思った。2024/08/11
かのこ
44
太平洋戦争が始まった昭和16年12月8日と、最後の15日間の、天皇、陸海軍部、市井の著名人たちの記録をまとめたもの。 人の死に際をいっぱい集めてみたり、“戦争”をこんな形で浮き上がらせたり山風先生の発想力とタイトルの創造力には毎度驚かされる。 原爆慰霊碑の文句を書いた教授ですら、開戦のニュースに万歳を叫んだ。確かに戦争が正義・正解であった時代があったんだなと。 とても濃い内容で、一読では全てを追いきれなかったので、また読み返したい一冊。2021/02/01
みっちゃんondrums
28
太平洋戦争開戦の1941年12月8日と、1945年8月の終戦までの15日間の人々の記録。開戦の日に合わせて昨年12月に読み始めたはずが、終戦の項、特に広島に原爆が落とされた8月6日から読み進められずにいた、つらい悲劇が予想されて。山田風太郎は資料から証言を抜き出して淡々と書き連ねているだけなのだが、生々しい記録となっている。今、読んでいてさえも、さっさと無条件降伏を受諾して、ソ連に攻め込ませるな、これ以上原爆を落とさせるな、と訴えたくなる。なおも本土決戦、一億総玉砕を唱える者たちの愚かさが悲しい。2022/06/27
こぺたろう
14
時々ちょっとずつ読み進めて読了。最後の章で引用されている手記にもありますが、戦争に行って亡くなった多くの人は、「普通の町の人」なんですよね。一般向けに、こういった記録がまとめられたことは意義深いと思います。2019/09/08