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ちくま文庫
悪魔の霊酒〈下〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 373p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480422088
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

内容説明

聖ロザーリアの面影を宿すアウレーリエとの思いがけぬ再会から、メダルドゥスの涜神の欲望は頂点に達する。ついに彼女を我がものにしようとした寸前、またも魔的分身が現れて…。遍歴の道はローマへ向かう。教皇をめぐる陰謀の罠をからくも逃れ、修道院へ帰還するが…。アウレーリエの命をかけた希望はついにメダルドゥスを悪徳から救いうるのか。五世代の罪と懺悔の歴史が明らかになる。

著者等紹介

ホフマン,エルンスト・テーオドール・アマデーウス[ホフマン,エルンストテーオドールアマデーウス][Hoffmann,E.T.A.]
1776‐1822年。後期ドイツ・ロマン派の作家・音楽家。東プロイセン・ケーニヒスベルク生まれ。大学では法学を学び、以後司法官としてのキャリアを積みながら文筆に手を染める。同時に作曲家・音楽批評家としても活躍し、交響曲やオペラ作品のほか、近代音楽批評への先駆的業績を残す。司法官との昼夜二重生活のなかで、1810年代後半からいっそう旺盛な文学活動に入り、幻想的な作品を数多く書いた

深田甫[フカダハジメ]
1934年千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院修士課程ドイツ文学科修了。同大名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

53
下巻では、5代にわたる一族の罪と呪いが明かされます。「暗黒の力ががんじがらめに結び留めていた」一門の不幸と罪が、主人公の信仰と徳の勝利により解かれるこの物語で、作者は人間の内の善と悪の戦いを、悪魔が差出したという霊酒や分身などの装置により寓意的に戯画的に描き出していたように思います。同時にそれは、現実を誇張して洗練するマニエリスムの絵画を思わせて、何と私の想像力を刺激したことでしょう。想像と現実、幻想を絡み合わせ、「瀆神の心にみちた偽善の言葉」を最後には天上に上げてみせるホフマンの創造力を堪能しました。2021/03/30

sedentary

6
サタンの誘惑に憑りつかれた修道士が見るドッペルゲンガーと殺戮。かんたんに欲望に搦めとられ、挙句のはてには贖罪にさえ聖人としての栄光を見る。宿業深さの割にひょうひょうすっとぼけた味わいがあるのは一人称だからかな、ときおり狐につつまれたように物語の運びがわからなくなる。我慢して読むと、最後には聖遺物のような古びた生々しさがきらきらと、ただただ観念的な感動を波のようにもたらすのに思いをはせながら本を閉じることになる(抽象的な感触)。和風のアナーキーテイストも好きだけど、時にはこんな熱っぽい文章に侵されるのも…2015/02/08

しんすけ

4
こういう面白さもあるという意味で久しぶりに堪能できた。だが魔術的世界に溺れない精神の持ち主でなければ奨められる本ではない。Doppelgängerは分身や二重人格と訳されることが多いが、悪魔の要素を含む言葉のほうが合うような気がする。いつからそのように思ったのか不確かだが、青年期に本書を読んだのが端緒かもしれない。メダルドゥスは悪魔に翻弄されたかのように無意識的に犯罪を重ねてきたが、裁かれえることなく本書は幕を閉じる。そこに本書の主題が観える。 2017/06/24

地図

2
長い旅路だった2019/10/02

ハルバル

2
実は主要人物のほとんどが不倫の結果による近親関係にあるという恐るべき事実が発覚し、主人公は罪業の一族の贖罪を果たすことになる。すべては悪魔の奸計だったのか?それとも人の業なのか?とにかく主人公の感情の降り幅が凄すぎて、お前もう少し落ち着けよと言いたくなる(笑)「呪われた一族の贖罪」というテーマはゴシックによくあるパターンなんだけど、魔女や悪魔に幻視が普通に出てくる幻想性と、主人公の自我の分裂という現代的なテーマが奇妙に絡まり合っていて、不思議な読み心地。正直まだ整理がつかないくらい壮大な話だった。2017/06/14

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