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ちくま文庫
悪魔の霊酒〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 380p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480422071
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

内容説明

後期ドイツ・ロマン派の奇才ホフマンの大作奇譚。修道院の奥深くに秘められていた聖遺物―悪魔が聖アントニウスの誘惑に用いたと伝えられる霊酒を飲んだ修道士メダルドゥスは、欲望と狂乱の情熱に引きずられるまま、涜神と愛欲の世界に沈みこんでゆく。痛悔の長い告白は、静謐な幼年の日々から始まり、成人して宮廷の世俗世界を遍歴する欲望の日々へ。怪奇の夜と輝く昼の交錯する長編ロマン。

著者等紹介

ホフマン,エルンスト・テーオドール・アマデーウス[ホフマン,エルンストテーオドールアマデーウス][Hoffmann,E.T.A.]
1776‐1822年。後期ドイツ・ロマン派の作家・音楽家。東プロイセン・ケーニヒスベルク生まれ。大学では法学を学び、以後司法官としてのキャリアを積みながら文筆に手を染める。同時に作曲家・音楽批評家としても活躍し、交響曲やオペラ作品のほか、近代音楽批評への先駆的業績を残す。司法官との昼夜二重生活のなかで、1810年代後半からいっそう旺盛な文学活動に入り、幻想的な作品を数多く書いた

深田甫[フカダハジメ]
1934年千葉県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、同大学院修士課程ドイツ文学科修了。同大名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

53
「男の子が授かれば」現世で犯した大罪が「赦免される」であろうとの父の幻視を経て生まれた、修道士メダルドゥスの一代記。父の業を身に宿し「信仰を護る闘い」に飛び立つことを予言された彼の物語は、幻想的で色彩的で、艶やかな悪夢のよう。それは、驕慢に陥りやすく享楽に流されやすい人間の弱さを誇張した筆で抉り出してみせているようにも思えます。信仰と虚栄、幻想と幻視、現実と狂気が煮え立ち錯綜する上巻は、父の大罪の一端が明かされるところまで。罪を重ね、嘘を重ねながら俗世を彷徨する彼の、そして一族の罪は贖われるのか。下巻へ。2021/03/26

ハルバル

5
第一部は主人公の生い立ちから入って教養小説風の始まりだが、幻視の光景などやはり幻想的。悪魔の霊酒を飲んでからの第二部では悪女との不倫や殺人と次々に罪を犯していく。徐々に明らかになる登場人物間の関係からは非常に閉じた円環構造が見られ、その通りに主人公の立場や行為は分身のように反復されていく。とはいえ陰惨一色ではなく、道化的な人物やおかしな挿話も多く、なかなかブラックな笑いも含んでいる。見えざる運命の糸によって紡がれる主人公の運命はいかに?それにしても登場人物図はネタバレのしすぎ。2017/06/13

地図

3
話の舞台が一転二転、文体もさることながら物語に散りばめられたイメージが美しく、不穏さを結晶させた絢爛な暗喩が読み進める側から突き刺さる。人物相関図はもちろん壮大なネタバレなのだけど、その中身を知っていても楽しめる。2019/09/18

しんすけ

3
1967年の初読時、モームが十大小説に本書を取り上げなかったことに首を傾げた。耽溺なる言葉が本書ほど似合う作品は他に無い、そんな感慨が生じていたからだ。だが今回はそれほど耽溺することもなかった。例えば、かって下記は心臓の鼓動をも感じたが今回はそれほどでもなかった。「わたしの内部に燃えていた灼熱の炎のほうが、ますます悩ましく、身を焦がさんばかりに燃え盛っていったのである。(160頁)」それは20歳と70歳の違いからくるものであろうか。初読時の翻訳者は中野孝次だったことも考慮しなければならないのかもしれない。2017/06/11

ちろ

0
表紙絵はオカルト、でも内容はサスペンス(上巻の今のところ)。無宗教の人には「?」だろうけど、修道士萌えって、団塊以上の奥様方がミッションスクールのお嬢様だった頃のお話で、わりと耳にするのですよ、日本でも。今のOLさんの佐川萌えとか、コピー機修理のお兄さん萌えと同じ感じ。主人公父の事件、タイムスケジュールとか完全犯罪で、スマートっぽいけど、伝聞だからな。実際はドタバタだったんだろうな。主人公が髪を整えた後の描写が、著者自画像と完全に一致w巻頭の人名リストと家系図は、ネタバレ過ぎて、先に読んじゃダメ。2013/07/06

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