出版社内容情報
内容は後日登録
内容説明
「聖なる酒びん」のご託宣を授かるべくパンタグリュエル一行は大航海へと船出する。殴られることで生計を立てるシカヌー族、トロイの木馬ならぬトリュイの牝ブタを用いてのアンドゥーユ族との合戦の顛末など、奇妙な風習やルールが支配する異様な島々をめぐって不思議な物語空間が織りなされてゆく。宗教改革を経て「不寛容」の嵐が吹き荒れるさなかでの、激烈な教会批判が爆発的な哄笑とともに描かれる。
著者等紹介
ラブレー,フランソワ[ラブレー,フランソワ][Rabelais,Francois]
1483?‐1553。フランスの作家・医師。モンテーニュとともに16世紀フランスを代表する文学者。トゥーレーヌ地方シノンに、弁護士の末子として生まれる。フランチェスコ会修道院に修道士として起居し、哲学・神学を学ぶかたわらギリシャ語を独習。1528年ごろパリに上る。30年秋、モンプリエ大学医学部に登録。32年にリヨン市立病院に勤務、医師・古典学者として第一歩を踏み出す
宮下志朗[ミヤシタシロウ]
1947年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科教授(言語情報科学専攻)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
95
第三の書から主役は、お供パニュルジェになった如く…、第四でも彼が中心。その臆病さ、情けなさが際立ち、本書は彼のとんでもない語りで終わる。言わばイジラレキャラ。それを日に日に頼もしさが目立ってくるジャン修道士が諌め、助け、絡んでいく。前半の、アンドュイーユ(うなぎ)族の戦いにおいて、ジャン修道士のアイデアで勇敢な料理人達を召喚し、トリュイの牝ブタに彼らをいれて送り込んで見事勝利を治める勝ち方が、まさにパンダグリュエル主義(和平を重んじ、主戦論に傾かない)で、微笑ましい。後半の一部に宗教戦争の影が見られる2015/06/15
かんやん
28
徳利明神の託宣を求めてパンタグリュエル様御一行船団が、いざ出航。嵐に見舞われ、鯨に襲われ、戦に巻き込まれるものの、ワクワク冒険物語では全くない。本文より多いような註に助けられ解読すると、各島での挿話の風刺・寓意が浮かび上がる。一番分かり易く笑えるのは、やっぱり痛烈なる教皇批判。それはともかく、古代ギリシャ・ローマの神話・哲学・歴史・逸話の膨大な引用(やはり註頼り)が織り成す間テクスト性の森を彷徨い歩くような読書だった。いや、実に豊かな世界で、枠を作って説話を集めてくるデカメロン型の物語集とは一線を画す。2020/11/21
fseigojp
10
パニュルジュの吉本っぽい行動が笑いをさそう2023/03/14
りんご
4
パンタグリュエルの航海記 いろいろな島を巡り、島民の風習などを紹介。その裏には教会批判が2022/11/16
Francis
1
前巻のパニュルジュの結婚についての占いの話はどこへいったのか、パンタグリュエル主従、航海に乗り出す。しかし、到達したところはどこも変な人間だらけ。そして最後は随分唐突に終わってしまう。当時の教皇を始めとして、カトリック教会や聖職者を思いっきり風刺している。ユマニストの作者らしく、この巻でも古代ギリシアを始めとする古典から沢山引用され、楽しませてくれる。2012/09/13