内容説明
洋の東西を問わず、歴史に現れたときからの少年愛のありようをたずね、その真髄を探り、ここに一つの美学体系としての構築、集大成を見る。「A感覚とV感覚」を併せて収録する。
目次
少年愛の美学
A感覚とV感覚
著者等紹介
稲垣足穂[イナガキタルホ]
1900‐77年。小説家。大阪の船場に生れる。幼い頃兵庫県の明石に転じ、神戸界隈で育つ。少年時代はヒコーキに熱中する。関西学院普通部卒業後、上京。佐藤春夫の知己を得て「チョコレット」「星を造る人」を発表。イナガキ・タルホの名前で出版した『一千一秒物語』により注目される。1969年『少年愛の美学』で第一回日本文学大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
5
読み終えると、何とも言えない疲れを覚えるというかなんというか…何せ四百頁にもわたってAやらVやらPやらソドミーやら、同性愛やら、延々といういわゆるシモの話が古今東西のその手の蘊蓄話を交えて繰り広げられるのだから。解説には、その作品で綴られる同性愛的志向は具体的なものではなく、著者の頭の中で構築された抽象的なものだというが、それでも、具体的な事例をこれでもか!!とばかりに列挙されるとさすがにげんなりとなる。また、「一千一秒物語」のようなタイプの作品は量産の効かない限定的なものだったのでは?と思わされた。2024/12/06
ぜっとん
5
少年愛っちゃ少年愛だけどこれはどっちかというとA、おしり愛のほうが本当じゃないか。どういうことだ。題名詐欺だ。面白いからどうでもいいけど。解説が蜂飼耳さんだった。2015/01/21
愁
4
内容的には「少年愛の美学」では無いのですが(苦笑)それもタルホ先生独特の表現、主張なのです。創作では短編の多いタルホ先生。ところがこの随筆のボリュームったら!AVPでここまで発想を広げてくるとは参りました。時代の変化で微妙な所もありますが、それも楽しんで行きましょうね!2017/10/11
am
4
再読。解釈は違えど問題の本質を捉えているという点では現代の同性愛問題や小児愛の問題と同等以上の問題意識を抱えていると読める。当然趣味趣向に関する話題も多く点在するが、結局のところVPA感覚の相違や優劣に関する話題に終始する。一貫して美学に関する書であり、つまりは美しいとはどのようなものであるか、だ。日本および諸外国における少年愛の盛隆を示してなぜ少年愛が存在したのか、少年はなぜ愛されるのか、A感覚がVPとどのように違うのか、少年愛と青年愛・異性愛のもつ決定的な違いなどについて明確に終着点を規定している。2009/10/07
ほたぴょん
3
趣味性が高い本だというのはわかってはいたが、予想を越えて趣味性が高かったので読むのに苦労した。大体ずーっと同じような話が続く、と言ったら足穂には叱られるだろうけど、まあそんな感じでした。基本的には美の至高は少年の美で、快楽の至高はV感覚P感覚ではなくA感覚であると、まあそれを繰り返し繰り返し説いてくれる本です。2015/08/10
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