内容説明
偉大な作家たちは、時代に深く沈潜、その時代の「精神」を捕捉し、作品に封じ込めようと格闘してきた。20世紀前半、その努力は頂点に達し、巨大な作品が群生、雄大な山脈となって現れたのだった。仏語圏のプルーストしかり、英語圏のジョイスしかり…。そして独語圏にも驚異的な膂力を持った作家が現れた―名はヘルマン・ブロッホ。ヒトラー登場へと続く時代の危機を、その淵源にまで遡り省察。本書は、その独創的な省察、「価値崩壊」論を背景に、時代風俗の中で“夢遊”する人々を活写する。雄大な構想、精緻な分析、斬新な描写手法は、圧倒的だ。読者は究極、「時代精神」の確かな彫像を見ることだろう。「全体小説」を唱えた巨匠の一大金字塔。
著者等紹介
ブロッホ,ヘルマン[ブロッホ,ヘルマン][Broch,Hermann]
1886‐1951。オーストリアの作家。ユダヤ系の富裕な紡績工場主の長男としてウィーンに生まれる。父の工場を継承、ウィーン文化全盛期の1910‐20年代を財界人として活躍。だが大恐慌(1929)の直前、工場を売却し、40歳を過ぎて作家生活に入る。時あたかもヒトラーの台頭期。その動向を逸早く「典型的な現象」として認識し、「全体小説」論を展開。時代精神に肉薄したその作品では、分析力、構想力の圧倒的な力量を示した
菊盛英夫[キクモリヒデオ]
1909‐2001。富山県生まれ。東京大学独逸文学科卒業。中央大学教授、東京大学、慶応義塾大学などの各講師を歴任。ドイツ文学関係の著訳書多数
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感想・レビュー
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syaori
kero385
かんやん
ディヴァイン
abaoaquagga