出版社内容情報
不思議なテレポート・マシーンとの出会いをきっかけに、哲学の基本的な問題をめぐって丁寧に議論を繰り広げる。論理的思考の展開方法も学べるやさしい哲学対話。
内容説明
おじさんがフリマで出会った奇妙な機械。それは物体をデータ化して、複製するという驚きの力を持つ装置だった。もしもあらゆるものが複製可能になったなら、この世界は、ぼくたちはどうなってしまうのか?それともぼくたちもすでに…?知識ゼロからの哲学対話。
目次
第1章 おじさんがフリマで奇妙なものをみつけた話(おじさんとぼく;おじさんがフリマで奇妙なものを手に入れたいきさつ ほか)
第2章 もう一台の「受信機」が手に入った話(おじさんからメールが届く;フリマの主催者からおじさんが聞いたことと、その後でおじさんが見つけたもの ほか)
第3章 ひともまたデータになってしまうという話(ひとを複製するなんて何で思いついたのかと、おじさんが責められる;生きているものと生きていないもの ほか)
第4章 自分たちはシミュレーションかもしれないという話(心をシミュレーションする;人類のあとに来るもの ほか)
著者等紹介
飯田隆[イイダタカシ]
1948年生まれ。東京大学とミシガン大学で学び、熊本大学、千葉大学、慶應義塾大学、日本大学で、哲学を教えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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buuupuuu
16
瞬間移動と複製は区別がつかないという話から始まって、ものを完全に複製できる技術があったらどうなるかということについてあれこれ考える。すべてがコンテンツになって、ものをダウンロードするようになるのではないか。生き物とそれ以外で複製してよいかどうかに違いはあるか?人が複製できたら「あの二人は昔は同じ人だった」みたいな言い方をするようになるかもしれない。意識を複製する技術が発展しうるならば、我々はオリジナルであるよりもシミュレーションである確率の方が圧倒的に高いだろう。等々。哲学には様々に想像できる力が必要だ。2022/11/23
たっきー
10
漢字に読み仮名がふってあり、子どもが読むことを想定しているのだろうと思われる哲学入門。とはいえ、なぜ人や動物などを複製してはいけないのか?という、なかなか難しい問い。大人の私もすぐに答えは出せない。2022/10/22
joyjoy
8
不思議なテレポート・マシーン(実は複製マシーン)をとおして、ぼくとおじさん、アキさんが議論したように、この本をとおして、自分も誰かと語りあってみたくなる。もし自分の目の前にこのマシーンがあったら?何に使う?何には使いたくない?オリジナルとは?コピーとは?コピーにもそこに何かキズ(何かの痕跡?)がつくと、あるいは何か物語がのっかると、唯一無二のものになる?いや、何もなくても何もかもが唯一無二とも言える?うーん、コピーでOKなもの、ダメなもの?自分は何を大事にするのか?いくらでも次のQが出てくるQブックス。2022/12/29
ニッポニテス的遍歴
6
☆=4/5 本書で扱われている哲学的議論の主題そのものからはやや逸れた感想になるが、以下に記す。 物質まるごとの複製が可能になった場合農業が「食生活の基盤」という役割から切り離された営みになりうる、という話はどこか村田『消滅世界』における性行為と出産の切り離しに似ていると思った。 2022/10/14
ひなた*ぼっこ
4
テレポート・マシーンという言葉に物理的な何かを期待して読んだら哲学入門書だった。本書自体は微妙だったけど題材は面白そうだからお薦め本は読んでみたい。2023/03/27