出版社内容情報
社会と現実の自分のはざまで、ややこしく考え、うろうろする。若い頃はそんなことこそが大事だと稀代の数学者は語る。身近な悩みに答える人生探究の1冊。
内容説明
「ほかの人が問題なくできることにつまずくのはなぜ?」「数学ができないのは私が女だから?」「学歴ってそんなに大切なの?」悩みや疑問はつきないものだ。社会と自分自身の間に立って、うろうろと悩む。問いは宝、うろうろすることにこそ意味がある。自分自身の悩みを足がかりに、探究の旅に出てみよう。
目次
第1話 頭がいいとはどういうこと?(頭が不器用?;才能とは何?;なぜ学歴は重視されるか ほか)
第2話 先が見えないのは当たり前(女子に数学は向かないか;男子は型にはまりがち?;男子のプレッシャー ほか)
第3話 自分らしく生きるとは?(特技は何か;孤独なのもちょっといい;向き不向きはある ほか)
著者等紹介
森毅[モリツヨシ]
1928年東京生まれ。数学者。東京大学数学科を卒業。京都大学名誉教授。数学者の仕事はもとより、自由で鋭い教育論や人生論で多くの人の心をつかんだ名物教授でもあった。2010年7月逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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れっつ
38
森毅先生と言えば、数学者でありテレビにもよく出ていて、独特ののんびりした雰囲気の関西弁で、まぁ気楽にいこうや的なことをよく言っておられた印象。このちくまQブックスは、森先生のあの語りそのままに書かれていて、まるで大学の講義を聴いている感じ。実は1990年に同タイトルの本が出ているので、それを細かく章分けし、イラスト図解をプラスしたのかな。森先生がご活躍された時代を知らない今の中高生たちにはピンと来ない表現も多いと思うけど、若いうちは悩んで立ち止まって考えて遠回りも良し、いろいろやんなさい、って感じかな。2022/02/20
sazen
8
10代向けにしては、難しい。著者が教育や学歴を俯瞰で語っているので、渦中の人間にはピンとこなさそう。どちらかというと保護者向けかな。学歴?そんなもん、「将来どうなるかわからない」という不安をひとまず隠すための一つの方策でしょ。大学で学ぶ内容なんてすぐ古い情報になっちゃうんだから。という記述には「身も蓋もねぇな!」とは思った。と同時に「常に自分の中になかった新しい思考や技術を習得しようとする姿勢自体が大事」というお言葉、これこそが真実なんだろうな、とも思いました。2023/08/19
joyjoy
5
ちくまQブックス。「読み終えたときには、次のQが生まれてくるかも?」と、カバー見返しにあるが。。。 え?そうなの?ほんとかな?現代ならこうかも?自分はこう思うかも?という感じで、たしかに読後Qだらけに。たくさん「悩め」ってことなんだよね???2022/07/17
n-shun1
2
青春か。青→春,朱→夏,白→秋,玄→冬。青→龍,朱→雀,白→虎,玄→武。一癖も二癖もある数学者の意見。一癖も二癖もあるけど本質は慎重でバランスを考えている人のようだ。いろいろ悩むのは当然。見えない未来だから。確実な世界,信頼できる存在,そんなのがあればありがたいが,そんなものがないのが世界の標準。であれば,自分が熱中できることを自分なりにやりきることだ。頭の良さ悪さはどの水準を使うかによる。表裏一体,左右上下,両極中庸,対となる考えを検討してみる。正しいこそ疑い,別の道を考えてみると意外と面白い。2024/06/22
メメント・モピ
2
今日では、男女差別の「女差別」の部分が取り上げられるけれど、「男差別」も根強く存在している。「男は「家族」を支えなければいけない」という問答無用のプレッシャー。不安定な状況では幻想を対置することもよく分かった。討論に「その場をもりたてるゲームの感覚」で挑むのも参考になった。私も討論中や会話中にイラっとしたら、ラジオのリスナーに聞かせる感覚で挑もう。一つの枠に安住せず、枠を広げ、多くの枠を持ちたい。2022/11/23