出版社内容情報
体は思い通りにならない。でも体にだって言い分はある。体の声に耳をすませば、思いがけない発見が待っている! きっと体が好きになる14歳からの身体論。
内容説明
緊張で体が固まったり言葉が出なかったり。そう、体は思い通りにならない。でも体にだって言い分はある。しゃべること歩くことがどんなに大変か私たちは知らない。さあ体の声に耳をすまそう。思いがけない発見が待っている。きっと体が好きになる14歳からの身体論。
目次
第1章 体の声を聞く
第2章 体、この不気味なもの
第3章 体がエラーを起こす
第4章 恥ずかしいのはいやだ
第5章 自分らしい体
第6章 メタファーを味方につけよう
次に読んでほしい本
著者等紹介
伊藤亜紗[イトウアサ]
1979年、東京生まれ。東京工業大学科学技術創成研究院未来の人類研究センター長。同リベラルアーツ研究教育院教授。専門は美学、現代アート。主な著作に『ヴァレリー 芸術と身体の哲学』(講談社学術文庫)、『目の見えない人は世界をどう見ているのか』(光文社)、『どもる体』(医学書院)、『記憶する体』(春秋社)、『手の倫理』(講談社選書メチエ)など。一連の体をめぐる著作で、2020年サントリー学芸賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
110
「どもる体」の伊藤亜紗が、思い通りにならない体についてやさしく語りかけるように論じている。彼女が自身の吃音を研究する内に、普段当たり前のように考えられている「言葉をしゃべる」という行為が、長い時間をかけて行えるようになった複雑な体の使い方と気づくようになった。三島由紀夫「金閣寺」で主人公が吃音を、鍵が錆び付いてしまっている扉のようと表現している。誰にでも思い通りにならない体であるが、だからこそ思いがけないこともあるはずだ。体の声に耳を傾けよう。体をメタファーで表現してみよう。言葉で自分の体を作り出すんだ。2021/12/30
けんとまん1007
72
伊藤亜紗さんの本は、発見がふんだんにあって興味が尽きない。伊藤さん自身、吃音であること、その吃音にもいろいろあることを題材のスタートとしての身体論。思い通りに身体を使おうというほうが、間違っているのではと思っている。場合によっては、身体の動きに委ねることもいいのではないか。そこから、新たな気づきや発見があるはずだ。2022/01/11
とよぽん
49
タイトルから予想していた内容と違って、著者伊藤亜紗さん自身の「吃音」を例に挙げた身体論だった。一口に「吃音」といっても、連続や難発、言い換えなどの「症状」があって、身体のエラーとかストライキと書かれている。とても分かりやすく、腑に落ちることがたくさんあった。体の声に耳をすますと、思いがけない発見が待っている! ちくまQブックス、面白い。2021/12/30
zag2
34
ああ、良い本に出会ったなあ…というのが感想です。14歳からの…とありますが、オジさんが読んでも、おじいさんが読んでも、良い本だと感じました。ご自身の吃音をもとに体のことを考えるアプローチですが、本に書かれているとおり、吃音でなくとも自分の体って思い通りにならない。でも、ここからスタートしてみようと改めて思えた一冊でした。「次に読んでほしい本」として巻末に紹介されている本の中に、鹿子さんの「へろへろ」が載っていて、ちょっと嬉しい。2022/02/09
T
21
いわた書店一万円選書2冊目。とても心地よく揺さぶられました。著者も当事者である吃音を一例に体のままならなさを考える本。10代向けのちくまQブックスというシリーズなので、平易な表現だからこそ刺さる。言葉ではなく体から伝わること、相手の体で感じ取ってもらうこと、自分の体と対話することなど、私も10代のうちに知りたかった…けど、今だからスッと入るのかもしれない。10代は自意識に忙しかったからね。自分なりのメタファーを与えることで、得体の知れない他者みたいな体に形を与えるってたしかに私の研究にも通じている。2023/01/01