出版社内容情報
唐代から宋代において、禅の思想は大きく展開した。各種禅語録を思想史的な文脈に即して読みなおす試み。〈禅の語録〉全二〇巻の「総説」を文庫化。
内容説明
伝灯、清規、問答、語録…「禅」は、こうして、「禅宗」となった!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
黒い森会長
4
2020年4月刊。原本は、2016年4月刊。筑摩書房「禅の語録」復刊により加えられた第20巻の文庫。禅についての「歴史」であるが、こんなに理解しやすい「禅」の本があったのかと感心。最新の禅研究から描かれた禅の本。とくに、第4章の唐宋禅宗史略は、白眉。ここだけでも読んで欲しい。唐の禅、宋の禅の違い。そして、宋の禅だけが日本に伝わったこと。そのことによる禅研究の弊害など、いろいろ勉強になる。柳田聖山の本も、読み直してみようかと思った。2024/09/01
可不可
2
四章~五章が特に面白かった。■「六祖は慧能である」というのが歴史の事実というか、当たり前の系譜だと思っていた。が、敦煌文献の発見によって「初期禅宗」の実態が明らかになり、六祖法如という系譜があったことに興味を覚えた。■あるがままの自己を肯定する馬祖系と、本来の自己を見出そうとする石頭系。また、唐代禅と宋代禅のちがい。こうしたことが、わかりやすく説かれている。この本は、再読すべきですね。 2025/02/12
眉毛ごもら
2
禅宗の中国での歴史や公案などについて。禅とはロックである。というのが感想である。公案とか私にはなぜこれで悟れるのかはわからんかったが、なんか勢いは感じた。がーっといってどーんと悟るんだろなみたいな。でもロックな割に政権と仲良し。中国の士大夫はわからんが鎌倉武士とか室町武士はなんか好きそう。だから政権の保護を受けて隆盛したんだろう。置物でお馴染みの達磨さんから派閥が別れ坐禅、公案等悟るために自分を見つめて仏を探したり仏を殺したり。はたまた畑を耕し荘園経営や組織的な決まりを作ったり禅宗の奥深かさを感じた。2020/08/03
bittersweet symphony
2
文庫・新書ではありそうでなかった中国禅の通史本。ちとショックを受けたのは、宋代の臨済禅が体制派と親和性が高かったらしいことと、20世紀の禅研究に絡んで秋月龍珉さんへの言及が若干のネガティヴ要因を除くとなかったことの二点ですね。そしてここでも京大人脈の影響の大きさが。2020/06/02
ゆどうふさん
1
年代によって、語録の解釈が異なるということは初めて知りました。 禅の語録を読む気がなくても、禅のことが知りたいと思っている人には読んでおく価値がある本です。 おすすめ。2024/08/22
-
- 和書
- 最新サハリンの旅全ガイド