出版社内容情報
神話研究の系譜を辿りつつ、民族・文化との関係を解明し、解釈に関する幾つもの視点、神話の分類、類話の分布などについても祥述する。解説 山田仁史
内容説明
神話は人類にとって普遍的であるが、同時に一見捉えどころのないものでもある。神々と人間の関係が疎遠になり、信仰が動揺してきたとき、神話ははじめて客観的・意識的に眺められるようになった。こうして「神話とは何か」という問いかけが、その没落とともに始まった。「神話学」の誕生である。本書はヨーロッパにおいて発達した神話学研究の系譜を丁寧に辿りつつ、定義と分類、様々な解釈を詳述し、重要な側面を余すところなく紹介する。神話とその背景としての民族・文化・社会、世界像や儀礼との関係を泰斗が解き明かす定評ある入門書。
目次
1 神話研究の歩み
2 神話とはなにか?
3 神話の分類
4 宇宙の起源
5 人類の起源
6 文化の起源
7 世界像の諸類型
8 神話・儀礼・社会
著者等紹介
大林太良[オオバヤシタリョウ]
1929‐2001年。東京生まれ。1952年東京大学経済学部卒業。1955‐59年フランクフルト大学、ウィーン大学、ハーヴァード大学にて民族学を学ぶ。ウィーン大学にてDr.phil.を取得。東京大学教授、東京女子大学教授、日本民族学会会長、北海道立北方民族博物館館長等を歴任。毎日出版文化賞、朝日賞、福岡アジア文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
さとうしん
12
批判も含めて古典的な学説からしっかり解説した本。民族学からのアプローチを中心にしている。地名など事物起源神話には往々してその後に真の神話、すなわち真の意図があるという指摘や、死者の国の話が人類の誕生の話の基礎になるなどの、フロベニウスのひっくり返しの法則が面白い。2023/05/03
hal
11
世界の神話や昔話に関する研究の入門書。古い本のようなので、最新の研究とどう違うかは不明。似たパターンの神話が存在している地域の表を見て、神話という文化は、もしかしてアフリカで人類が誕生した時からあって、それがそれぞれ変化をしながらも語り継がれてきたのかと思うと、感慨が深い。ネアンデルタール人も同様な神話を持っていたのだろうか。どの時点で人類は「神話」を獲得したのか興味のあるところです。2019/06/29
林克也
5
1989年、 FerrariがMythosというプロトタイプ を出したことを思い出した。ところで、神話を必要としているのは誰なのか?為政者(支配者)が人民を精神的に支配して自分たちの利を得るための仕組みだと思う。たとえどんなに学術的な研究や解析をしたとしても、神話とは結局そういうものだと思う。これは「宗教」とも通じることだと思う。被圧者側としてそういうもので心が落ち着き幸せになれるのであれば、他人がとやかく言うのも野暮といえば野暮だが。2019/05/10
seichan
4
図書館本。一応は読んだけども、神話学の発展の歴史部分を追うよりも、大量に出てくる世界各地の神話のほうを拾い読みするばかりで内容を把握できなかった。というか、もともとが古い本なので語り口が硬く、きっちり気合入れて読まないと頭に入らない……脳の咀嚼力が低下したなと感じる。トシのせいか易しい本ばかり読んでるせいか。 2019/06/08
茅野
2
神話学のなかでも、民族学的なアプローチから見る神話学の本。めちゃくちゃ面白かった。題には入門とはあるものの、基礎を説くというよりはあらゆる学説のさわりを体系的に列挙し、論じたもの、という方が正しく、かなりアカデミック。オススメ。2020/06/22