内容説明
古代の人々の生活や信仰、祭りの中から神社は各地で発生した。では彼らはどのような神々を祀ってきたのだろうか。明治以降の国家神道の影響を受ける以前の“祭祀の原像”を求めて、主要な神社の成り立ちや特徴を解説する。取り上げられる神社は大神(おおみわ)神社、伊勢神宮、宗像大社、住吉大社、石上(いそのかみ)神宮、鹿島神宮、香取神宮などで、それらは大和王権の国家運営が進むに従い、それぞれに役割を付与され性格づけられて、律令体制下の神社制度として確立していくことになった。日本古代史における神社の起源と変遷をていねいに辿り、その存在意義を考察する。
目次
第1章 日本の神と社
第2章 三輪王権の神体山“大神神社”
第3章 大王の守護神“伊勢神宮”
第4章 航海と外征の神“宗像と住吉”
第5章 王権の軍神“石上神宮”
第6章 東国の鎮守“鹿島・香取神宮”
第7章 古代の氏神の祭り
第8章 神祇官の祭り―西院の神々と御巫の奉仕
第9章 祈年班幣と国司の神祭り―律令国家の神社支配
著者等紹介
岡田精司[オカダセイシ]
1929年、東京生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。立命館大学助教授を経て、三重大学教授を務める。「古代王権の祭祀と神話」で大阪市立大学文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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リカオン
1
神社が好きで御朱印集めが趣味なので、図書館で借りました。ちょっとわかりにくいところもあったけど、日本人のルーツのようなものを感じました。2025/04/09
月音
1
立派な社殿と神を奉じる集団があれば、そこに権力が介在していることを本書で気づかされた。大和政権下では天皇・アマテラスを頂点に中央・地方氏族の神々を外交・軍事等の守護として各地に祀る。氏族の信仰を保障しつつ、精神面まで支配に及ぶしたたかさ。律令制の崩壊とともにその構造も崩れたが、近代の国家神道や皇国史観が想起され、国と宗教の在り方について考えさせられる。/再読2022/09/16
アル
1
神社の形態やその在り方、特に律令国家との関係を中心に解説している。 神社の原形を推測する1章に続き、前半は主要な神社を具体例に色々な神社の有り様を、後半は神祇官の役割と意義、それが律令制と共に崩壊していく流れを解説。 講義録が元になっているためか語り口は柔らかく読みやすかった。2019/10/08
瀬川
1
面白かった。神社の成立を辿り、神、そして神への祈りが古代の日本社会になぜ必要だったのかを勉強できる。ご神体の変遷(もともと神は海の向こう山の果てから一時的に来る→神が訪れる岩、山をあがめる→そのものが聖なるものになる)はとてもわかりやすかった。その他個別の神社の成立もチョイスが良く、各地の神社が支配階層の必要に応じた施設だった事がわかった。 元がカルチャーセンターでの講義との事で、平易なのも良い。日本の古代にもっと触れたいと思ったし、小説的にもいいネタになる気がした。2019/09/06
さとまる
1
神仏混交などが進んだ中世以降の神社像から余分なものを取り除いていき、古代の神社像を探る内容。神に奉じる民の氏神が、必ずしも奉ずる神とは限らないというのは驚きだった。2019/07/29
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