ちくま学芸文庫
鏡の背面―人間的認識の自然誌的考察

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  • サイズ 文庫判/ページ数 512p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480098320
  • NDC分類 143.8
  • Cコード C0145

出版社内容情報

人間の認識システムはどのように進化してきたか、そしてその特徴は。ノーベル賞受賞の動物行動学者が試みた自然誌的考察による壮大な総合人間哲学。

内容説明

鏡は現実の世界を映し出す。ローレンツは、ヒトの心も現実の事象を映し取り認識するものとして鏡になぞらえ、すべての鏡に物理的実体として裏側・背面が存在するようにヒトの心にも背面があるとし、その背面である認識システムに目を向ける。人間の行動の基礎となる五官から中枢神経系までを含めた人間の全認識装置とその機能を、アメーバーやゾウリムシの行動を始めとして、最終的には人間の社会的営みにまで至る“生きたシステム”全域における解明を試みる。ノーベル医学生理学賞を受賞した20世紀を代表する知性による、総合人間哲学を目指したきわめて野心的な試み。

目次

認識論的前置き
認識過程としての生命
新たなシステム特性の生成
現実的存在の諸層
短期の情報獲得の諸過程
行動のテレオノミー的変異(報酬による学習=強化による条件づけは除く)
成功の応答と、報酬による訓練(強化による条件づけ)
概念的思考の基礎
人間の精神
生きたシステムとしての文化〔ほか〕

著者等紹介

ローレンツ,コンラート[ローレンツ,コンラート] [Lorenz,Konrad]
1903‐1989年。ウィーン生まれ。動物行動学を確立した。ウィーン大学で医学・哲学・動物学を学ぶ。1949年比較行動学研究所を創立。マックス・プランク行動生理学研究所所長等を歴任した後、コンラート・ローレンツ研究所を設立。1973年N.ティンバーゲンらとともにノーベル生理学賞を受賞した

谷口茂[タニグチシゲル]
1933年鹿児島県生まれ。東京大学大学院宗教学科博士課程修了。明治学院大学名誉教授。ドイツ文学者、宗教学者。著訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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めん

4
「思想家は‘有機的生物の前進は多くの互いに異なった、無関係に働く諸システムが、より高い秩序の統一体へ統合されることによって、また統合の経過のうちに、システムが新たに生じた上位の全体システムの中で協力するのを一層容易にする変化が、それらのシステムに生じることによって達成’と考えてきた」と紹介。そして「相互作用、サブシステム間の情報交換は、単純化されるか一層直接的な道へ導かれるかするが、不必要な歴史的残余は解体か、退化」と。平易なのに全体を難解に感じるのは、私の能力不足。第2巻人間性の解体に進むのは躊躇。図書2019/08/09

へんかんへん

2
もう完全に頭に入ってない2017/11/23

毒モナカジャンボ

1
カント的な実在と精神によるその表象の認識という断絶した関係性について、その認識が明らかに身体の器官によって基礎付けられているという前提から筆者は仮説的実在論という主体外的現実と主体の相互作用をベースに、生物一般の認識メカニズムについて、系統発生的にその原始的生物から人間までの道のりを辿る。認識の遺伝的基盤は還元主義的に捉えられるのではなくホーリズムで的であり、反射から実物を欠いたシンボルによる学習までには電撃が必要。社会科学の悪循環(観察者自体が対象に組み込まれる構造)を自然科学的文化史は超えられるか。2021/02/04

鴨長石

1
「全体はその全部分よりも多い」というのがとても印象的。行動のためにはまず世界を認識することが必要で、認識装置(鏡)のあり方、使い方が根本ということだ。学習のような行動変容が起こるためには「鏡の背面」がどうなっているのかという話…だと思うのだが、きちんと読めているか自信がない。つまりは創造性や進化がどのように起こるかということだろうが、ダーウィンやドーキンスなどとどう接続するのか、点と点をつなぐ思考ができない。何か良い見取り図や道案内はないだろうか。2020/08/27

はな

1
人間の、すべてではないがたいていの本能的衝動が、無理にも文化が要求する行動規範のコントロールの下におかれなければならないという必要性にある。人間が種族維持的価値のことなど何も考えずに創造した純粋の芸術作品は、先験的価値の一つの具体化2017/11/18

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