出版社内容情報
躍動する鍋島武士たちを活写した聞書八・九と、信玄・家康などの戦国武将を縦横無尽に論評した聞書十、補遺篇の聞書十一を下巻には収録。全三巻完結。
内容説明
享保元年(1716)九月十日、『葉隠』はついに完成。山本常朝と田代陣基の邂逅からほぼ六年半の歳月が経過していた。その間、陣基は武士たるものいかにあるべきかを求めて煩悶し、膨大な語りと書付のなかを彷徨い格闘を続けてきた。下巻には、さまざまに躍動する鍋島武士たちを活写した聞書八・九と、武田信玄、徳川家康、伊達政宗など他国の名だたる武将たちの縦横無尽の活躍を論評した聞書十、そして、これまでに漏れた重要な教訓や挿話を改めて多数取り集めた聞書十一を収録。常朝の語った真の武士の姿の全貌が、ここに陣基の手によって明らかにされる。全三巻完結。
著者等紹介
山本常朝[ヤマモトジョウチョウ]
1659‐1719年。鍋島藩二代藩主光模に御書物役などとして仕え、光茂の死去に際して出家
田代陣基[タシロツラモト]
1678‐1748年。鍋島藩三代藩主綱茂に祐筆役として仕えた
佐藤正英[サトウマサヒデ]
1936年生まれ。東京大学名誉教授。倫理学・日本倫理思想史専攻
吉田真樹[ヨシダマサキ]
1971年生まれ。静岡県立大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
34
最近の者が飲み食いの集まりを致すことは、もっての外の埒あかぬこと(091頁)。関ケ原の御一戦の時秀忠公は木曾路を登られましたが、真田安房守(あわのかみ)がその軍勢を食い止め申しましたので関ケ原に御遅参なされました(342-3頁)。言うべきことは初めに言っておくのがよい。後から言えば言い訳のように成り申します(419頁)。客人の接待には座敷や器物に至るまで新しくわざわざ用意して、初めてその客に披露するのがもてなしである(同頁)。大きなことは稀である。小さなことは多くある(426頁)。2021/07/18
さんご
1
前半鍋島藩のエピ集。後半の他家のエピ他になると有名人、事件等が出てきて俄然面白くなる。九州にいても情報はいきわたっているなーっと。参勤してるし当たり前か。関ケ原前後から100年位の間の出来事なので戦国を色濃く引きずってる。多分中央はもっと早く戦時から文民政治に移ってるのだろうけど何事も昔風を良しとする家風なので殺伐として厳しい。解説の女性の解釈は的外れで納得できない。あと、この巻にのみ簡単な年表があったけど各巻にも欲しいし鍋島など主要な家の家系図も欲しいところ。2018/03/08