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ちくま学芸文庫
中世の窓から

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  • サイズ 文庫判/ページ数 384p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480098016
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C0122

出版社内容情報

中世ヨーロッパに生じた産業革命にも比する大転換――。名もなき人びとの暮らしを丹念に辿り、その全体像を描き出す。大佛次郎賞受賞。解説_樺山紘一

内容説明

かつてヨーロッパ史において、中世は文化的にも経済的にも停滞した「暗黒時代」だと見なされてきた。そうした通俗的理解に対し、著者は、実はこの時代に後の産業革命にも匹敵するような大転換が生じていたことを、庶民や賎民の視点から丹念に描き出してみせた。貨幣経済の浸透は、人と人との関係を根底からくつがえし、人びとの日常生活や社会構造、さらには倫理や世界観をも大きく組み換えていく。ドイツ・ニュルンベルクを舞台に、民衆たちの生活世界をたどることで、そのダイナミクスを浮き彫りにする阿部史学の白眉。大佛次郎賞受賞。

目次

第1章 聖と俗の間―中世都市(市民の暮らし;貨幣の役割;つきあいの形)
第2章 職人絵の世界(一二人兄弟の館;靴職人の世界;衣服のタブー;石と鉄―呪術的世界)
第3章 人と人を結ぶもの(仮面の祭り;飛脚;子供の遊び)
第4章 原点への旅(十一世紀の大転換;贈物で結ばれた世界;女性と異端;時代のはざまで―ユダヤ人)
第5章 ふたたび町へ(聖性の喪失;音で結ばれた世界)

著者等紹介

阿部謹也[アベキンヤ]
1935年、東京に生まれる。1963年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。小樽商科大学教授、一橋大学教授、一橋大学学長、共立女子大学学長などを歴任。2006年9月没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ジャズクラ本

17
突然だが僕は共通一次世界史のマーク模試で17点だかを記録したことがある(勿論満点は100点)。この本は中世の西洋史。ふと気付いたら余所事を考えてたり、居眠りしたり、散々な読書だった。1980年に朝日新聞夕刊に掲載され、単行本は大佛次郎賞受賞したことが司馬遼太郎が考えたこと11に触れられていたため、世界史の全くダメな僕ながら、ひたすら読了を目標に読み進めました。石工や鉄、剣、衣服や靴の中世の民俗文化に触れられており、僕なりにもこれを面白いと感じる人の片鱗を垣間見ることができたので、良しとしておきましょう。2019/12/10

風に吹かれて

16
ヨーロッパの中世。「暗黒の時代」というイメージがあるが人と人の結びつきをつくっていたモノとモノの交換から貨幣経済への転換が起こる歴史的に重要な時代だ。中世という時代を分かりやすく説明している。庶民の生活を極めて低い視線から説明しているので、親しみを感じながら読むことが出来た。ヨーロッパの建物が何故頑丈にできているのか、ということも当時の人々の世界観を知ることで理解できた。難しい政治状況や思想の話は一切ない。職人、宗教、経済の移り変わりを通して中世の時代に生きていた人々の生活感まで伝わってくるようだった。2017/11/18

組織液

14
意外と『ハーメルンの笛吹き男』より易しい口調で読みやすかったです。この本曰く、「ヨーロッパ」が形作られたのは11世紀だそうで、そこで中世の大転換が起こったとか。また西洋中世における「贈与」の文化と、貨幣経済への移行による影響がここまで大きいとは知りませんでした。リトルのコンピュータのたとえは秀逸でしたね。家のアジールや市と宗教の関係のなどは、日本の中世にも共通しているなと素人ながら思いました。ちょっと古い本なので、この手のテーマを扱った新しい本も読んでみます。2021/01/31

かんがく

12
著者は網野氏との対談でよく知っていたが、西洋版網野という感じ。ヨーロッパの都市に住む普通の人々が、ペストや宗教改革、貨幣経済の広がりの影響をどう受けたのかが豊富な史料とともによく伝わってきた。宗教改革による聖と俗の分化、貨幣経済の広がりによる共同体の絆の解消など、近代への繋がりを感じた。2020/07/04

Ex libris 毒餃子

11
中世から近世に移る時期について、ニュルンベルクを舞台に論述された本。物々交換経済から貨幣経済への移り変わりから宗教改革における風俗の締め付けなど、牧歌的家族的結びつきを土台とした社会構造が変わって行く様がよく分かりました。2018/04/22

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