ちくま学芸文庫
ヨーロッパの帝国主義―生態学的視点から歴史を見る

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  • サイズ 文庫判/ページ数 560p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480097897
  • NDC分類 230
  • Cコード C0122

出版社内容情報

15世紀末の新大陸発見以降、ヨーロッパ人はなぜ次々と植民地を獲得できたのか。病気や動植物に着目して帝国主義の謎を解き明かす。解説 川北稔

アルフレッド・W・クロスビー[クロスビー,アルフレッド・W]

佐々木 昭夫[ササキ アキオ]

内容説明

南北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドといった温帯には、ヨーロッパに由来する住民が多い。これらの地域へのヨーロッパ人の進出―帝国主義は、なぜ成功したのか。その謎は生物学的・生態学的考察を抜きにしては解き明かせない。本書は、「雑草」「野生化した家畜」「ヒトと結びついた微生物」の三つが、軍事力以上にヨーロッパ人の席捲を後押ししたことを巧みな叙述で実証する。10世紀以降の世界史を壮大な視野から描きなおした歴史学者クロスビーの代表的名著。文庫化にあたっては、原著第2版の序文を新たに訳出した。

目次

プロローグ
パンゲア再訪
ノルマン人と十字軍
幸多き島々
遙か彼方の海を吹く風
達し得るが捉え難い土地
雑草
動物
疫病
ニュージーランド
解釈の試み
結論

著者等紹介

クロスビー,アルフレッド・W.[クロスビー,アルフレッドW.] [Crosby,Alfred W.]
1931年、アメリカ合衆国・ボストンに生まれる。1961年、ボストン大学にて博士号取得。ワシントン州立大学、テキサス大学をはじめ、多くの大学で教鞭を執りつつ、研究を行う。現在、テキサス大学オースティン校名誉教授。専門はアメリカ史、地政学、生態学的歴史学

佐々木昭夫[ササキアキオ]
1933‐2009年。東京生まれ。東京大学文学部仏文科卒、同大学院比較文学比較文化博士課程中退。東北大学名誉教授。専攻は比較文学・比較文化学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

壱萬参仟縁

41
2015年初出。頭蓋骨という宝の小箱につめこまれた神経組織の成長は、数百万年前に始まったが、以後、ヒト科の生物は次第に「文化」を所有することができるようになった。文化とは、遺伝子の分子的要素の中に行動様式を大脳の細胞において行うシステムである(056頁~)。スペイン人は、温かく、頼りになる貿易風を「ラス・ブリザス」と呼び、カナリア諸島、カポ・ベルデ諸島と西インド諸島にはさまれた広大な大西洋を「ゴルフォ・デ・ダマス」、「貴婦人たちの入り江」と呼んだらしい(201頁)。 2017/08/19

ヒナコ

9
大航海時代以降、ヨーロッパ人は新世界に移住し、そこで資源を獲得することで産業革命の基礎を築いた。本書は、こうしたヨーロッパ人の拡張がなぜ可能だったのかという問いに、生態学的な回答を用意したものだと言える。→2022/08/18

mawaji

6
「史上最悪のインフルエンザ」の訳者あとがきにあった「パンデミックというのはけっきょくエコロジーの問題なんだよ」という著者のひとことが気になって手に取りました。「遠い距離ということは侵略者が不可避的に持ち込むことになる病気に対して原住民が無防備であるということを確実にする」などの記述にあるように、大量虐殺しながらネオ・ヨーロッパへ侵入していったホモ・サピエンスは無慈悲というよりはエコロジー的に無知であったということなのでしょう。長引きそうなコロナ禍に対して生態学的視点からの対処、なんとかならないでしょうか。2020/08/17

ふぁきべ

4
ここのところダイヤモンドにしろ、アセモグルにしろ、世界の歴史を総観して、なぜヨーロッパ人が優勢に立つことが出来たのか、逆に同じように優れた文明を享受していた中国人でも、人類発祥の地に住むアフリカ人でもなく、ヨーロッパ人が世界の覇者になったのか、ということや、どうすれば発展した国を作ることが出来るのかといったテーマの本を読むことが多いので、その一環で読んでみたが、率直に言って期待外れだった。彼が上げる新石器革命やヨーロッパ人が持っていた動物や植生の強さ、病気に対する被征服地原住民の弱さといった点は、既に知っ2017/06/15

oDaDa

3
川北稔による解説が頗る纏まっている。訳者の佐々木昭夫は限定復刊した岩波新書『アリストテレスとアメリカ・インディアン』も訳す。「ネオ・ヨーロッパ」たる南北アメリカがクレオール化し、独立もヨーロッパ人の子孫としての「クレオール人」によって形式的な独立ができたに過ぎず、対し、アジアはそうはならなかった。ポメランツやウォーラーステインの議論に立脚するように、著者のクロスビーは「新石器革命」にその分岐点を決定的に見出している、という。本文は流し読みで失礼するが、世界史學徒としての純朴な疑問は氷解し得る内容であった。2022/12/19

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