出版社内容情報
大唐帝国の礎を築いた太宗が名臣たちと交わした政治問答集。編纂されて以来、帝王学の古典として屹立する。本書では、七十篇を精選・訳出。
内容説明
唐代、治世の問題を真正面から取り扱い、帝王学の指南書となった『貞観政要』。幾多の戦乱を乗り越え、太平の世を現出させた太宗(李世民)が名臣たちと交わした問答を史家・呉兢が編纂。爾来、中国のみならず日本においても為政者たちが折に触れて立ち返る古典の地位を得てきた。「指導者の条件」「人材の登用」「後継者の育成」など、およそ組織運営に関わる人間なら必ず迷い、悩むであろう問題に古人はどのように臨んできたのか。本書には汲めども尽きぬ教訓が今も満ち溢れている。本文庫は明代の通行本(戈直本)を底本とし、全篇より七十篇を精選・訳出。
目次
第1章 治世の要諦
第2章 諌言の機微
第3章 人材の登用
第4章 後継者の育成
第5章 名君の条件
第6章 帝王の陥穽
第7章 学問の効用
第8章 刑罰の論理
第9章 用兵の限界
第10章 守成の心得
著者等紹介
呉兢[ゴキョウ]
670(咸亨1年)‐749(天宝8年)。中国・唐代の歴史家。〓(べん)州(河南省開封)の人。長年史館にあり、歴朝『実録』などの編纂に従事
守屋洋[モリヤヒロシ]
1932年、宮城県気仙沼市生まれ。東京都立大学大学院中国文学科修士課程修了。中国文学者。SBI大学院大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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KAZOO
125
むかしの日本の政治家はこのような本を読んでいたということを聞いています。とくに安岡正篤先生の講演などをよく聞いていたということのようです。ただこれも先日読んだ「資治通鑑」と同じように全文ではないのでさらに明治書院の本でも読んでみたい気もします。最近出口さんもこの本の解説書を書かれているようです。2019/03/16
5 よういち
103
名君として知られる唐王朝の皇帝・太宗と名臣とが政治について問答した話しを納めた『貞感政要』。古来より中国、日本において帝王学の教科書として伝わってきた。貞感政要に記された280編の中から70編を紹介。◆自分が知らなかっただけで、まだまだ中国には名著があるんだなぁ。今回は訳者として名前を連ねた守屋氏の著書をもう少し探ってみたい。2020/01/08
ehirano1
87
かの孔子の儒教がなぜこうも実践されないのか?ということで、皇帝自ら儒教を本気で実践してみた、という実践録でした。トップになるまでとなった後ではアクションが異なる必要があるが、多くの人はそれになかなか気づかない、というのが印象的でした。2024/04/20
33 kouch
40
身の破滅を招くのはほかでもない、その者自身の欲望。長い中国の歴史のなかで何度も繰り返される。それを制する3つの鏡。①銅の鏡/身成や振舞いを正す②歴史の鏡/過去から学ぶ③人の鏡/魏徴など。太宗に諌める魏徴は時代背景を考えると凄い。決死の諫言と思えないくらい淡々として容赦ない。「わかったから今日は堪忍して欲しい」と弁明する太宗が人間ぽくて良い。あとがきにもあったが…「無私」は本当に難しい。更に継続はもっと難しい。「名君とは自己犠牲以外のなにものでもない。だからこんな割の悪い職業はないのだ」リーダー必読の本。2023/12/25
まえぞう
28
有名な帝王学の教科書で、家康の愛読書としても知られています。唐の太宗、李世民と彼の臣下のやり取りをまとめた形になっていますが、ちょっと模範的すぎて、作為を感じさせなくもありません。やはり玄武門の変のイメージを払拭したかったんですかね。それでも負の遺産をエネルギーに変えていったところは、やはり名君なんでしょう。2021/12/05