出版社内容情報
我が子に命狙われる「王舎城の悲劇」で有名な浄土教の根本経典。思い通りに生きることのできない我々を救う究極の教えを、名訳で読む。(阿満利麿)
内容説明
漢文・古文の知識が必要な仏典を独学で読むのはほぼ不可能に等しい。しかし日本を代表する大作家・佐藤春夫はその筆力により、一人で経典を理解し、味わうことのできる訳を用意した。『観無量寿経』は『無量寿経』、『阿弥陀経』とともに「三部経」と称される浄土仏教の根本経典。仏や仏のいる世界を「観る」方法を説くとともに、自分の力ではいかんともしがたい人生を俯瞰し、切り抜ける方法を教えてくれる。経典の主人公はわが子アジャセに命狙われる古代インドの王妃イダイケ。なぜこのような悲劇が起こるのか説明を迫るイダイケに、シャカは因・縁・果の物語を説く。
目次
釈尊が「無量寿仏を観奉ること」を説かれた聖典
『観無量寿経』入門(『観無量寿経』の成立と翻訳;『観無量寿経』の流伝と理解の発展;『観無量寿経』の教説内容について;参考註釈書について)
著者等紹介
佐藤春夫[サトウハルオ]
和歌山県生まれ。1892‐1964年。作家
石田充之[イシダミツユキ]
山口県生まれ。1911‐91年。龍谷大学文学部教授、浄土真宗本願寺派勧学をつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ホシ
11
浄土三部経の一つ『観無量寿経』を佐藤春夫が訳・注をほどこし、石田充之が解説した本。佐藤氏は篤実な浄土宗の信者だったらしく、文章からは阿弥陀LOVEをひしひしと感じた。懇切丁寧であり、です・ます調なので親しみの湧く内容だった。石田氏の解説は難しい部分もあって全部は理解できなかったが、『観経』を観察経典と読むか、救済経典と読むかが、後の浄土教の岐路になったという内容だったと思う。救済経典と読んだのは善導であり、法然がそれを受け継ぐ。『観経』を通した中国・日本における浄土教の展開も俯瞰できて、面白かった。2016/09/25