ちくま学芸文庫
悪魔と裏切者―ルソーとヒューム

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  • サイズ 文庫判/ページ数 248p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480096418
  • NDC分類 135.3
  • Cコード C0110

出版社内容情報

ルソーとヒュームのどうしようもないケンカの記録。いったいこの人たちはどうしちゃったのか。二人の大思想家の常軌を逸した言動を読む。

内容説明

十八世紀の大思想家による伝説のケンカを、山崎・串田両氏が丹念な状況説明を付して再現。母国を追われたルソーをイギリスに温かく迎えたヒューム。しかし二人の友情はルソーの激しい思い込みからほどなくして破綻する。突然狂気に満ちた絶縁状を送りつけられたヒュームは、戸惑いつつも己の名声を守るべく、往復書簡に註を付して公刊。対するルソーは、自己の良心と真摯に向き合えば答えは明白との一点張り。近代哲学の二面性を、それぞれ別の方向から突き詰めた二人だからこそ起きた衝突。読んで大笑いするのも一興。しかしここには最も純粋な思想の言葉が満ち溢れている。

目次

最初の鄭重なる書翰往復
パリの会合
ロンドン到着
嵐の前
宣戦布告
ルソーの言い分
永遠の袂別
『争論文書』の公表
弥次馬
健全さの悪
ルソー英国を去る

著者等紹介

山崎正一[ヤマザキマサカズ]
1912‐97年。東京生まれ。哲学者。東京帝国大学哲学科卒業。同大学大学院修了。東京大学教授、法政大学教授、日本哲学会委員長等を歴任。江戸時代からある東京谷中の興禅寺(臨済宗興聖寺派)の住職でもあった。イギリス哲学やドイツ哲学に関するものの他、道元、法然、親鸞ら高僧についての著作もあり、『正法眼蔵随聞記』の訳注も行った

串田孫一[クシダマゴイチ]
1930‐2008年。東京生まれ。詩人、哲学者、随筆家。暁星中学校、東京高等学校を経て東京帝国大学哲学科卒業。戦後、数多くの詩人を輩出した『歴程』同人となる。若くから登山に親しみ、尾崎喜八らと山の文芸誌『アルプ』を創刊。1983年の終刊まで編集長をつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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藤月はな(灯れ松明の火)

73
年金問題と社交での憂鬱に悩まされていたルソーは自分を擁護してくれたヒュームを批判した。一体、なぜ?ルソーも大概だが、ヒュームの哲学での有力者を弁護に立てて弁明する姿は権力にゴマをする金魚の糞のような嫌らしさがある。誰もがルソー(被害妄想)であり、ヒューム(偽善者)にもなる。そしてネットワークの発達で炎上という名の魔女狩りやバッシング、誹謗中傷、関係者でないのに個人情報の徹底的な洗い出しと開示などというネット上での「正義」という名の私刑が横溢する今だからこそ、この本はもう一度、日の出を見たのかもしれない。2016/03/21

ラウリスタ~

20
フランスとスイスから迫害され行き場を失ったルソーを、イギリスのヒュームが親切心から迎え入れて、ロンドンで大々的に歓迎された。その後、ルソーはとんでもない被害妄想にかられ、ヒュームこそが迫害の黒幕だと信じ込み、二人の間で論争ならぬ「喧嘩」が始まった。この本は、彼らの間の手紙と、出版された文書をまとめたもの。戦後4年目でこんなふざけた本のためによく紙を使えたなと思いつつも、ちくま学芸のための新たな解題が意外にも非常に面白く、なるほどそういう深い深い「喧嘩」だったんだなと納得させられる。2014/12/05

ころこ

13
ルソーが「エミール」を書いたことで迫害を受け、身を寄せたのがイギリスでした。ヒュームはルソーに便宜を図りましたが、行き違いがあり絶交します。ヒュームは常識人であり、手紙の対応をみる限り、非難される点はありません。他方、ルソーはプライドが高く、馬車の手配が気に食わないことを発端に、様々な非難をヒュームに浴びせます。決定的だったのは、文庫版で44ページにも及ぶ長文の手紙をヒュームに送り付けました。分量の割に思い込みが先行した手紙で、後に事実関係が違うとして、証言とされたダランベールからルソーは反論を受けていま2017/11/18

いなお

1
本当に痴話喧嘩としか言い様がないが、哲学者の本性がさらけ出されており興味深い/1949年に刊行されたのは結構すごいんじゃないか2016/05/12

左手爆弾

1
内容的には大したことがない。要するに、スキャンダルだ。それは筆者も序文ではっきりと断る。そして、解説にあるように、近代の2つの側面としてルソーとヒュームを理解するという読み方も、まぁ、そうなんじゃないか、と思う。が、なんといっても、本書の最大の魅力は書簡体の文章を実に美しく流麗な文章で訳しているところ。書簡の文章は非常に訳しにくいのは周知の通りだが、筆者たちの深い教養に支えられた文章は非常に味わい深い。逆に、地の文はそれに比べれば地味なように見える。2015/05/15

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