出版社内容情報
ソクラテス哲学の核心には「無知の自覚」と倫理的信念に基づく「反駁的対話」がある。その意味と構造を読み解き、西洋哲学の起源に迫る最良の入門書。
内容説明
ソクラテス哲学の核心にある「反駁的対話」の構造と意味を分析し、それがかれの倫理的信念といかに関わるかを考察する。さらに、この倫理的信念の彼方に現れる「無知の自覚」が、ダイモニオンの囁きと共に、なにか超越的なものを示唆することを推定する。
目次
第1章 謎の人ソクラテス(資料の問題)
第2章 ソクラテスの生涯
第3章 反駁的対話(エレンコス)
第4章 反駁的対話の論理構造
第5章 無知
第6章 イロニー
第7章 正義
第8章 ダイモニオン
第9章 死と希望
第10章 幸福
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
edamamekirai
2
接続切れて長めの感想全部消えた。悲しい。ソクラテス好きです。プラトンのこと全然知らない。恥ずかしい。2018/01/08
μέλισσα
1
神託による探究の開始とダイモニオンの禁止とについての記述を見ると私は昔からベンヤミンの「神的暴力」とドゥルーズ&ガタリの「リゾーム」を思い出すのだ。 理性を挫き、また理性を動かす外なるものの理論はソクラテスにおいて完結しているように見えて、改めて私はまだポストモダンの独創性なるものを全く理解できていない段階にいると気付かされた。 『ゴルギアス』篇もまた非理性によって対話を挫かれて終わる。 やっぱり、魂の不死なしにソクラテスは理解できないし、それゆえ私は彼を理解できないのであろうか。2025/01/29
有智 麻耶
1
自分自身は著作をのこしていないソクラテスについて、いまだに研究の領野がひろがっていること、いいかえれば、これほどまでに書かれるべきことがあることに驚かされた。彼の反駁的対話や「無知の自覚」などの主題について、先行研究をときに受容しつつ、ときに批判的に乗りこえながら、統一的な解釈を提示している(したがって、本書は概説書でありながら、ひとつの研究として読める質のものとなっている)。あとがきでいわれているように、彼の哲学を宗教性の視角から分析しており、「デルフォイの神託」や「ダイモニオン」の重要性を理解できた。2024/04/02
ポルターガイスト
1
田中美知太郎『ソクラテス』に比べより包括的で筆者のメッセージ性が強く,有益な情報がたくさん回収できた。2018/03/27
ひろし
1
難しいところもあるが、やさしく書かれており、理解できる。 わかりやすく書こうとする著者の姿勢が伝わってくる。 ソクラテスの思想を知ることができる良書。2017/08/03