出版社内容情報
エンサイクロペディストによる痛快無比の書物・読書論。作家から思想家までの書物ワールドを自在に飛び回り、その迷宮の謎を解き明かす。
内容説明
今日は澁澤龍彦、山口昌男、明日はユングにカルダーノ、はてはポルノや春本まで、“書物の美食家”エンサイクロペディストによる痛快無比の書物論、読書論。日本、世界の作家、思想家、学者などの書物ワールドを、あたかも花を求める蝶のごとくヒラリヒラリと飛び回る。いい香りを嗅ぎ付けては美味な蜜をしっかりと味わい、栄養はたっぷりと吸い取る。いったい厖大な書物のなかの何を読み、どうつきあったらよいのか。そのはてなき書物の大森林におくすることなく分け入り、からみあった複雑な迷宮の謎を解き明かすスリリングな大冒険。
目次
1(シークレット・ラビリンス;借覧読書術 ほか)
2(ポルノv.s.春本;賭博小説の算術 ほか)
3(陽物神のアナーキー―澁澤龍彦『玩物草紙』;孫悟空のパフォーマンス―山口昌男『仕掛けとしての文化』 ほか)
4(集団給食のエロティシズム;人生イカニ生クベキカ ほか)
著者等紹介
種村季弘[タネムラスエヒロ]
1933‐2004年。東京生まれ。東京大学文学部卒業。ドイツ文学者。該博な博物学的知識を駆使して文学、美術、映画など多彩なジャンルで執筆活動を展開した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
29
書物に関するエッセイ。に留まらずその内容は書物だけに留まらず、あっちに移り、こっちに流離い。ただその浮遊感覚がなんとも言えず心地いいのは、独特の文体と作者の背景にある膨大な知でしっかりと地に付けられているからだと思う。内容も捕物帳のあれこれから、家畜人ヤプーとマゾヒズム、東京の昔、稲垣足穂、等多岐に渡っているが、そのどれもが心地よく酔わせてくれるよう。自分もこのように本を読みながら、それを手がかりにあちこちに翼を広げれるようになりたいものです。2013/01/06
miroku
12
珍しい本の情報収集が出来るかと期待したが、目的を果たせず。だが昭和の懐かしい匂いを堪能した。2014/05/06
feodor
8
種村さんの書評の嵐。なんともすごい。そして、おもしろそうではある。本を新たに買い続ける言い訳だとか、書痴エッセイでもあるし、変幻自在な感じが素晴らしい。2013/02/15
あーしぇ
4
電子書籍が普通の時代に生まれる今後の世代には、きっと迷い込むことすらできない書物のラビリンス。紙の本があるうちは、私もずっとこんな世界に溶け込んでいたい。2013/01/06
蛸
3
戦後すぐの読書体験などの話が興味深かった。当然のことだが人の数だけ、その生きた時代の数だけ異なる読書体験があることを実感した。著者の作品の中では割と軽めの書評を収めた一冊。軽妙洒脱な文章は本が後半に進むにつれて加速していく気もする。(そういう効果を狙った編集なのか)収録作品の中では「読まないことの擁護」が特に印象的だった。本を単なる「紙の束」としかとらえない考え方に対する鮮やかな提言。著者独特の読書論である。2016/04/13
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