出版社内容情報
古事記から平家物語まで代表的古典文学を通して、国生みからはじまる日本の歴史を子ども向けにやさしく語り直す。網野善彦編集の名著。
内容説明
子どもから大人まで楽しめるやさしい語りで、古典作品に書き残された豊かな世界を味わいながら、日本の歴史を読み直す。イザナギ・イザナミが日本という国を産み、暴れん坊、倭建命が国土をまとめていく顛末を綴る『古事記』『日本書紀』。平安貴族の心の機微を伝える壮大な『源氏物語』と、雅なエッセイ『枕草子』。一般庶民の飾らない喜びや望みを伝える『今昔物語集』。貴族と武士の栄華と没落の歴史ロマンを生き生きと描く大長編『平家物語』―。巻末では石母田正が日本史の大きな流れを整理しつつ、歴史記述の背後に迫る。歴史家として花開く以前、若き日の網野善彦が編集した名著。
目次
国のはじまり
ヤマタノオロチ
国々のむかし話
倭建命
青丹よし
むかしがたりの歌
国々の歌
防人の歌
奈良の都のころの話
春のにしき〔ほか〕
著者等紹介
石母田正[イシモダショウ]
1912‐1986年。元法政大学法学部教授。日本史学者。唯物史観の立場から古代・中世史の研究を行った
武者小路穣[ムシャコウジミノル]
1921‐2010年。元和光大学教授。専門は日本文化史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひよピパパ
8
標題のとおり、歴史の流れに準じて、様々な文学作品の一部を取り出して現代語訳して、簡単な解説を付したもの。馴染みの『竹取物語』や『伊勢物語』の「都鳥」の話、『平家物語』の木曽義仲最期の話などをはじめ、『古事記』などから神話の話も取られている。網野喜彦氏オススメの本だけあって、読み物としても面白い。2020/02/01
ロッキー
8
国の成り立ちから平安後期までの古典をわかりやすい解説でまとめたもの。古事記や日本書紀から平家物語までの古典に一通り触れるという意味ではとても良かった。竹取物語の蓬莱の玉の枝の章が教科書で習ったことを懐かしく感じ、今まで一部分しか触れなかったのとかぐや姫というイメージからやさしい内容だと思ってたけど、なかなシビアな話だった。かぐや姫が月の都で犯した罪とはなんなんでしょう?鎌倉時代以降の話もあればよかったんだけど、残念。2013/10/05
うらかすみ
3
「物語」といっても神話から、源氏物語、軍記もの、説話集、日記文学まで多岐に渡り、和歌も取り上げられている。純然たる史料ではないがこれらの作品にどのような歴史の実像が反映されているかを小学生高学年から理解できるようにやさしく解説している。大人が読んでも面白い。続編を出す意志はありながらかなわなかったということが非常に残念。 2012/07/25
小倉あずき
2
初版本に収められてはいたという絵巻の画像も一緒に見てみたかったなぁ。 齋藤孝の『声に出して読みたい日本語』よりも何十年も前に、もっと味わい深くセレクトされた、身体全身で日本語を味わうための本が出版されていたこと、そして不十分な形であれ復刻したことを言祝ぎたい2017/07/14
いちはじめ
2
物語を通じて歴史に思いを馳せる。歴史を通して物語を味わう。正しい歴史知識を身に付けることと古典文学に親しむことは必ずしも一致しないのだが、そのあたりの落とし所が見事だと思う2013/07/19