ちくま学芸文庫
禅に生きる―鈴木大拙コレクション

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  • サイズ 文庫判/ページ数 428p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784480094452
  • NDC分類 188.8
  • Cコード C0115

内容説明

日本が生んだ世界で一番有名な仏教者・鈴木大拙。禅に関する書物を数多く英語で出版し、たびたび海外に招かれ講演を行った大拙の仏教は、日本の仏教徒のみならず、ユングやハイデガーといった西洋の思想家をはじめ、ビート・ジェネレーションと呼ばれる人々をも魅了した。本書では、今では読むことが難しい、雑誌への投稿論文や、西田幾多郎ら近しい人たちへ宛てた書簡を、編年体で収録。すべてを知ることのできる仏の智慧=「般若」と、すべての生きとし生けるものを救う仏の慈悲心=「大悲」が融合する大拙特有の「禅」がどのように作り上げられていったのか、その思想の道すじが分かる、学芸文庫オリジナル編集。

目次

在米時代(一八九七~一九〇八年)(旅のつれづれ(抄)
一八九八年三月三十日 西田幾多郎宛書簡 ほか)
帰国後(一九〇九~一九二〇年)(緑陰漫語(抄)
一九一一年二月二十三日 ポール・ケーラス宛書簡 ほか)
京都時代(一九二一~一九三〇年)(政治より宗教へ;起て若い君等よ ほか)
十五年戦争期(一九三一~一九四五年)(日本精神と禅の側面観;一九三六年二月二十七日 山本良吉宛書簡 ほか)
敗戦後(一九四五~一九六六年)(一九四五年八月十六日 加納実宛書簡;一九四五年八月二十二日 務台理作宛書簡 ほか)

著者等紹介

鈴木大拙[スズキダイセツ]
1870‐1966年。世界中の人々に影響を与えた仏教者。「大拙」は円覚寺に参禅し、師・釈宗演より授けられた居士号で、本名は貞太郎。1897年に渡米し、出版社にて禅思想の英訳本を刊行。1909年の帰国後も、大乗仏教を広く世界に発信した

守屋友江[モリヤトモエ]
1968年生。阪南大学教授。明治学院大学大学院国際学研究科博士後期課程修了。専門は宗教思想史。スタンフォード大学文化社会人類学部客員研究員、デューク大学神学部客員教授等を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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roughfractus02

8
1897-1966年の間の西田幾多郎らに宛てた書簡、随想、学生宛の論文が編年体で並ぶ本書は、日清戦争からベトナム戦争までの一知識人の思考の変遷と、カオスの中の生を掴んだ仏陀の般若と大悲へ向けて精進する一禅者の不断の実践の両面を読者に提示する。不立文字を旨とする禅者が文字を書くのは、文字によって世界を分節し、対立・競争の二項を設定してそれらが発展を促すという夢を作り、社会のために人の生自体を失わせる点を批判するためである。それゆえ禅者は、第二次大戦後の社会の混乱を人々が霊性で満たされるカオス的契機と捉えた。2021/02/24

karutaroton

5
金沢の鈴木大拙館がなかなか面白かったので一冊読もうと購入。1946年の文に「これは昔から日本人の誰もが常習的に行っていることであるが、何かお上から人が見に来るとかいうことがあると、大騒ぎして何もかも綺麗にして見せるということがある」ってのがウケた。私の周りでは今も時々見られるな。2022/05/15

マウンテンゴリラ

0
大地とそこに暮らす庶民の生活に根付いた日本的霊性というものが、現実的課題とどのように結び付くのか、という初歩的疑問にたいするヒントを期待して再読した。特に戦争に対して、日本的霊性による見方とはどのようなものかということを確認することを期した。その思いは、少しは満たされたかもしれないが、多くは疑問のまま残された。超客観的とも言える群衆心理に囚われず、自他を越えた中で自己を確立する。具体的には、他者の痛みを自己の痛みとする、あるいは、他者の立場を自己の立場に重ねるといったことが基本になるのだろうか。2016/12/12

マウンテンゴリラ

0
明治から昭和の戦後にかけて、幅広い期間にわたる大拙の思想に触れることができるという意味で貴重な書であると思われた。仏教者として、特に大乗仏教の世界的意義という観点から、戦争や社会問題に対して、積極的にコミットしていこうとする姿勢がよく表れていたように思う。しかし、戦争(一般論としての戦争ではなく、日本が関与した戦争)に対する見解など、大拙と言えども必ずしも一貫した反戦思想を持っていたわけでなく、その価値観も時代背景に縛られた一面もあったということを知らされたような気がした。2014/08/12

壱萬参仟縁

0
社会救済論(064ページ~)は、現代の社会問題についての対応について考えるヒントを与えてくれる。貧弱なる所以は、社会組織の不完全に因りて起り、配財の不平均より生じるもの甚だ多し(065ページ)。現代の所得再分配の失敗を指摘されているような気がする。「富貴の子弟に与うる書」(082ページ~)もその文脈に連なる。お金持ちの子どもに対して物申すことは、なかなかできたことではないが、現代も世襲財産もあるので、当事者の方には読んでいただきたい内容と思える。衣食住、勉強道具に事欠かない子弟への伝言。2012/06/21

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