出版社内容情報
アウシュヴィッツという異常な事態を経験した人間の運命と向き合う思想家レヴィナス。その眼差しを通し、他者・責任など時代の倫理を探る。
内容説明
世界大戦・革命・ユダヤ人虐殺という危機的状態を経験した現代人の運命と向き合い、他者について、責任について、独自の思想を紡ぎだした現代フランスの思想家エマニュエル・レヴィナス。本書は、“20世紀の証人”とも称されるその思想の核心を、レヴィナス研究の第一人者である著者が紹介しながら、フッサール、ハイデガー、スピノザ、サルトルら他の思想家とも比較。慢性的な疲労とストレスに満ち、出口とてない現代という異常な時代にあって、「隣人」という難題を抱えて生きるための、新たな倫理を探る。
目次
序章 書物の浜辺
第1章 境界の思考
第2章 孤独というドラマ
第3章 他者とは誰か
第4章 家政術と商人術
第5章 界面の倫理
著者等紹介
合田正人[ゴウダマサト]
1957年、香川県多度津町生まれ。一橋大学社会学部卒業後、パリ第八大学哲学科に留学。東京都立大学大学院人文科学研究科博士課程中退。琉球大学講師、東京都立大学人文学部助教授を経て、明治大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nranjen
4
「研究する」とはどういうことなんだろう、と最近とみに考える。疑う余地なく、筆者はレヴィナスを訳すと同時に日本におけるレヴィナスの受容に貢献されてきた第一人者だ。きっとこの本を手にした方なら、その自由な切り口に気がつかれるだろう。そう、自由なのだ。レヴィナスがレヴィナスに止まることなく、現実、生きることに結び付けられている。研究主体は「そういうもの」としてあるものではなく、研究者が一緒に踊っているようなものなのかもしれない。多分、筆者はレヴィナスと共に踊っているのだ。自分はよく踊れているのか、時々考える。2019/12/12
グスタフ
4
レヴィナスにとっても「倫理」は「語りえない」ものであることは、了解済みである。しかし、言語の誤用を恐れずに、沈黙に反抗するのが「倫理」であるとも言う。他者の顔を前にした私の一方的な、責任を語るレヴィナスの倫理学は、対面関係を避けようとする冷めた第三者の目から見れば、当然矛盾に満ち溢れた批評の対象と化す。本書は、倫理を語りすぎることで、「汝殺すなかれ」の本意からどんどん、ずれていく印象を受ける。2012/01/05
eleking
1
出だし取っつき易く快調に読み進めていたのだが、博覧的に各種思想が引き合いに出され、当方がほとんど初心者であるレヴィナスそのものを見失い始めた段階から俄然難解な印象に。後半はとても「読めた」とは云えない状態だなあ。2011/09/19
村上直樹
0
「レヴィナスってゴミじゃないの?」 「まあゴミですね。読んだことないけど」 「読まずに言うなよ」 「内田樹先生並みに説教臭いって某読書ブログの人が……」 「じゃあこの本もゴミなんじゃね」 「合田正人は悪くないですよ。ご都合主義的神秘主義に否定的だし」 「そんな人がどうしてレヴィナスなんか研究してんの」 「ホント、訳わかんないよ」 「面白いの?」 「まあ面白いです。各章のイントロもブンガク的で好きですね」 「そうなんだ。じゃあ読んでみよう!」2011/12/11
arisa
0
筆者の自問自答に入っていくのがむずかしい。(~_~)こんな顔2023/10/11