出版社内容情報
消費者の嗜好や政治意識を測定するとは? 集団特性の数量的表現の解析手法を開発した統計学者による社会調査の論理と方法の入門書。
内容説明
本書の真髄は、戦後の民主主義発展という歴史を背負って黎明期から調査関係者をリードし、調査の理論と実践を知り尽くした著者の「実践的調査理論」にある。この歴史と理論と実践が三位一体となり、現実の社会の課題解決のための研究が可能となったのである。今日、調査協力率の低下や回答者への接触の困難など調査環境悪化とともに、調査方法自体も質の低下が著しい。それにもかかわらず、「世論調査」が不当なほどに力をもつようになってしまった。本書にちりばめられた教訓を今一度、噛みしめる時である。
目次
序章 社会調査の心
第1章 社会調査の論理
第2章 調査の基本―標本調査の考え方
第3章 質問の仕方の科学
第4章 調査実施の科学
第5章 データ分析のロジック
第6章 調査結果をどう使うか
著者等紹介
林知己夫[ハヤシチキオ]
1918‐2002年。東京生まれ。東京帝国大学理学部数学科卒業。戦後に統計数理研究所へ入所。研究部長などを経て1974年から86年まで同研究所長。理学博士。戦後日本の科学的な世論調査・社会調査の基礎を築き、また質的データの数量化理論を開発し、調査に基づくデータ解析の重要性を説いた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゲオルギオ・ハーン
22
課題解決のために調査を活用する『実践的調査理論』の展開などで日本の実践的統計活用に大きな影響を与えた著者の一冊。データをそのまま信じ込むことの危険性や安易にデータから結論を求める姿勢を批判しており、定期的にデータを集めることの重要性、調査の費用対効果、調査から情報を読み解くことも書いている。40年ほど前に発行された本とは思えないほど今でも通用する話ばかりで驚いてしまった。どんな調査でもしないよりはマシ、ただどういう調査かを理解した上で使わないと意味がない。重要な話ばかりでした。2022/08/08
セイタ
5
社会調査の意義や実施する上での課題、そもそも調査とはどのような性格を持つものかが書かれている。 古い本なので時代背景やデータのとり方が今日と合わないところは当然あるが、それでも調査に付随して起こる課題や普遍的な意味での調査の持つ役割は全く色褪せない。また、著者は実務を実際にやっていくうえでこのことを学んだ。やはり、統計学や調査というのは実務から発生した学問であることを再認識した。2020/12/16
亮さん( ̄^ ̄)ゞ
0
統計学における調査の仕方、研究の仕方に書いたもの。わかりやすい、少し知識があればわかるものを採用しておりすごくよい。統計学を使って自分も何かを研究したくなったな〜。もうちよっと専門書を見て研究したくなりました。2015/12/27
ずーしみ
0
アンケート調査には、『好き』や『嫌い』、『賛成』や『反対』といった数字ではないデータを使っている。このように量では表せないデータを統計的に処理する際、数量化という手法が用いられることがある。この理論を開発したのが、著者の林知己夫氏。調査の名人とも言える方!!そんな著者がアンケート調査のエッセンスを解説している。内容はハイレベルだか、非常に読みやすく、『どこに』苦労するのかといった他には書かれていないことばかりが詰まっている。アンケート調査をよくご存じな方も一読の価値ありです☆2011/12/30
Jake
0
積読になってた本。ようやく読了する機会となった。冒頭の特攻隊の事例、どきりとした。戦時中から活躍されていた著者。2024/10/05