ちくま学芸文庫
ワーグナーとニーチェ

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  • サイズ 文庫判/ページ数 474p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480093233
  • NDC分類 762.34
  • Cコード C0110

出版社内容情報

響き合い、互いの創作を高めあい、別れゆくふたりの鬼才。不世出のバリトン歌手が、若き日のニーチェを音楽の面から捉えなおした名著。

内容説明

国民的音楽家であったワーグナーと、若き俊英ニーチェ。ふたりはショーペンハウアーや古代ギリシアの讃美を通して共鳴しあい、たがいの創造に光を投げかけあうが、次第にニーチェの哲学は、ワーグナー的なものへの闘いとして展開されていく。響きあい、そして決裂するふたりの巨星の運命を、不世出のバリトン歌手、フィッシャー=ディースカウが美しく綴った名作。

目次

トリスタン「前奏曲」
出会い
ショーペンハウアー
トリープシェン「幸せに酔う人びとの島」
友人たちとの生活
悲劇とムジーク・ドラマ
夢さめて
不安と疑念
祝祭劇の開幕
最後の出会い〔ほか〕

著者等紹介

フィッシャー=ディースカウ,ディートリヒ[フィッシャーディースカウ,ディートリヒ][Fischer‐Dieskau,Dietrich]
1925年生まれ。現代を代表するドイツのバリトン歌手。ワーグナーをはじめとする幅広いオペラの役柄をこなす一方、宗教音楽やドイツ歌曲のすぐれた研究、解釈でも知られる。93年に舞台から退いたのちも、後進の指導や研究など、活発な活動を繰り広げている

荒井秀直[アライヒデナオ]
1933年生まれ。慶応義塾大学名誉教授。ワーグナーを中心に総合芸術論を専門とする(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かみしの

6
ニーチェとワーグナーの精神の交歓の歴史。彼らの関係性についてはニーチェ自身がアフォリズム「星の友情」ですべていっているような気がする。形而上的なもの、具体的にいえばカントの思索のようなものを破壊しにかかるニーチェの根本が詩人や音楽家であり、ギリシア的熱狂、ショーペンハウエル風のペシミズムにひかれつつ晩年遠ざかっていく様に、親近感がわいた。「過度の自涜」というワーグナーの当てこすりは、比喩としては案外よいところをついているのでは、という気がしないでもない。20世紀と19世紀のスリリングな橋渡しである。2017/10/29

またの名

6
そりゃ長年の病気の原因は「過度の自涜」なんてここに書くのも躊躇したくなる指摘をしてしまったら、若き天才哲学者ニーチェの不興を買うのは仕方ない。けれども、この事件が二人の交友関係の中で最も致命的な決裂のきっかけであるように考えるのは狙い過ぎだし、そんな書き方をしながら本書もワーグナーの燃え盛る愛国心と反ユダヤ主義にニーチェが付き合いきれなくなったという(ニーチェ寄りの)割とオフィシャルな見方に従う。強く結びついた異才同士が離反することになった思想的背景は強調せずに人間関係を細かに描写した、歌手による伝記。2015/11/08

sun

2
厚い本。二人の関係の詳細な記録資料。この本は、二人の作品を十分聞いたり読んだりしてれば、きっと貴重なのだろう。ワーグナーについてはある程度わかるが、ニーチェはさっぱり。ニーチェかあ~。気が向いたらね。2013/11/10

ラウリスタ~

2
期待度が高かったぶんやや低評価になるかな。ワーグナーとニーチェの交友関係について延々と書き続ける。二人の思想的な交流に関してはなんとも中途半端。ニーチェの作品内容にはまったく触れないし、ワーグナーに関しても同様。ただ、ニーチェとワーグナーの関係や、ニーチェの人間的な生活の面に関して知りたいのなら十分に使える資料。ただ、あくまで著者は音楽家であって思想家、哲学者ではない。その辺が一つの限界になっているような気はする。2012/02/28

いると

0
読んだ感想は、結構散々なものだった。人は本来勝手なものだし変わっていくものだ。ワーグナーも大概だが、理想を勝手にいだき、理想でなくなったことを嘆く悲劇の主人公のようなニーチェも随分勝手なもんだと思った。まあ、純粋な変人の話だ。

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