出版社内容情報
あのSF作家のアシモフが化学史を?
じつは化学が本職だった教授の、錬金術から原子核までをエピソード豊かにつづる上質の化学史入門。
内容説明
近代の錬金術師たちはどんな夢を見ていたのだろう。エピソードゆたかに多数の化学者たちが登場する、化学者アシモフの初学者むけ化学史。
目次
古代
錬金術
転換期
気体
原子
有機化学
分子構造
周期表
物理化学
合成有機化学
無機化学
電子
核をもった原子
核反応
著者等紹介
アシモフ,アイザック[アシモフ,アイザック][Asimov,Isaac]
1920‐1992年。ロシア生まれニューヨーク育ち。SF作家の巨匠として知られるがもとは化学専攻。15歳で大学入学。医学部生化学の助教授も務めた。生涯の著作は500冊を越すという
玉虫文一[タマムシブンイチ]
1898‐1982年。東京大学化学科卒業。同大学元教授
竹内敬人[タケウチヨシト]
1934年生まれ。東京大学教養学科卒業。同大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ガクガク
45
あのアシモフはりっぱな科学者だったんですね。翻訳者もあとがきで似たようなことを書いているが、SF作家だけでなく多方面で活躍していたことを本書で再認識した。本書は化学の通史を古代から現代まで、簡潔にしかも必要にして十分な内容で解りやすく読ませてくれる。教科書的な無味乾燥な内容ではなく、錬金術師から始まる数多の化学者たちが、連綿として物質の成立ちを解き明かそうとする努力が十分に伝わってくる。そしてついに自らの手で原子を他の原子に変え得るところにまで至るのだ。高校では教科書と共にこのような本を副読本にすべきだ。2014/03/11
イノ
28
ロボット三原則でおなじみのSF作家が化学の歴史を書いたとあっては読むしかないだろう。作家だけど生化学者で大学教授でもあるらしい。 古代の火や鉄から始まり錬金術で金と不死の万能薬を求めたり、見えない神秘的だった気体を分類し元素と化学式を見つけるくだりとかとにかく面白い! 枝分かれされ新しい学問として現在の礎になっていった 発見と発展の歴史が見えた。 なんでこれを授業で教えてくれなかったのか。2017/10/21
絹恵
25
数多の研究者が心惹かれた哲学者の石、それでも人は錬金術によって永遠の生命をつくり出すことは出来ませんでした。でも元素発見のなかでウランを見つけ、やがて人工元素プルトニウムをつくり出しました。正確な重要性を伝えようとした化学の歴史を見ることは善悪の起源を見るようだと思いました。2014/08/20
有沢翔治@文芸同人誌配布中
15
アシモフといえばSF作家ですが、化学史の解説書も書いています。通常、欧米人が書くと、イスラム科学はないがしろにされがちなのですが、イブン・スィーナーなどもきちんと解説されていて好感が持てました。それどころか、アルカリなどの化学用語はイスラムからの輸入だったのです。http://blog.livedoor.jp/shoji_arisawa/archives/51476877.html2016/08/28
白義
14
化学の歴史は単に真っ直ぐな進歩の道のりではない。ときに誤解や思い込みが新しい新発見を生み、その新発見がまた忘れられた仮説を蘇らせる、多くの人間が関わってきた生のドラマである。その生のドラマ、人間たちの物語をそのままにその怒涛の歩みを描いた格好の化学史の啓蒙書。古代の製鉄や原子論、錬金術からやがて近代化学が生まれ、化学変化の実際の応用から原子の構造の解明まで明らかにしていくのを自身も生化学者だったアシモフは鮮やかにまとめている。錬金術こそ今では成り立たないものの、プラスチックなどは間違いなくそれに通じている2016/07/22