内容説明
「脱構築」「差延」の概念で知られる現代思想の巨人デリダ。それまでの西欧哲学を痛烈に批判し、文学・芸術・建築・政治・法などあらゆる分野における人間の行為をとらえ直した。その著作は『声と現象』『グラマトロジーについて』など数多く残されている。本書では、その偉大な軌跡をわかりやすくビジュアルに紹介する。「脱構築」項に添えられた神殿円柱を壊す画など、本書に収めたウイットに富んだイラストには、デリダの批判精神が生きている。巻末に詳細な年表・書誌を付す。これ一冊でデリダについてレポートが書ける。ちくま学芸文庫初訳オリジナル。
目次
デリダとは誰か?
脱構築とは何か?
さまざまな境界線
哲学の批判
「ジャック・デリダ」という人物
デリダのエクリチュールを読む
ウィルス・マトリックス
決定不可能性
生と死の中間
さまざまな対立〔ほか〕
著者等紹介
コリンズ,ジェフ[コリンズ,ジェフ][Collins,Jeff]
著者。イギリス、リーズ大学で芸術史を専攻。プリマス大学で芸術史講師を務める。その他、現代文化、批評論の教鞭もとる
メイブリン,ビル[メイブリン,ビル][Mayblin,Bill]
デザイナー。イギリス王立芸術大学卒
鈴木圭介[スズキケイスケ]
1955年生まれ。東京外国語大学大学院修了。映画・建築・音楽関係の翻訳多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ラウリスタ~
9
「私を難解だと非難する人たちは、正しく読んでいないか、それとも最初から読むのを拒絶した方がよいと判断できるくらいには理解しているか、そのどちらかなのだ。」 僕はどちら? サルトルの後継者ですか、、、確かなものを崩していくっていう漠然としたイメージだけは感じましたが、、、。文学と哲学を混ぜ合わせるというのは面白い。実際分けるものでもないですしね。でも文学的哲学よりか、哲学的文学のほうがはるかに読みやすそう。2010/05/22
ましまろ
3
くらえ!デリダハンマー!2010/03/01
いきもの
2
デリダの思想をざっくり知ろうと思い読む。ざっくりわからんけど、ポモはやっぱり好きではない。反小説や実験小説系が哲学者になった感じか。現代に手法のエッセンスが氾濫している気もするが、デリダのものとは限らない気もする。結局は弁証法的な気もする。批評と相性がいいのはなんとなくわかる。2018/06/17
Z
2
入門書なのでなんとも言えない。最近デリダと問題関心共有できたかなと思い、手に取った。デリダ思想に関してはこれから読む本で感想書くとして、漫画でわかりやすかった。新書のなになに入門というやつも全部漫画にしたらどうだろう?2014/09/08
Nさん
1
「脱構築」。たまに目にするが、よくは知らない言葉。本書はデリダの思想を、彼の生涯に渡る著作から読み解いていくダイジェスト版だ。脱構築の理解は、それに先立つ「決定不可能性」という戦略に拠るところが大きい。二項対立はどちらかを「現前」に本質とみなし、もう一方を対比的・従属的なものと捉える。デリダの戦略は、それらの関係をずらし、転覆させる、不安定化・混乱化である。デリダは自らの思想の革命やフェミニズムへの(事前の目的への)応用には懐疑的だった。彼の思想は「構築」よりも「破壊」に力点があると感じた。表紙が素敵だ!2020/04/29