ちくま学芸文庫
空間・時間・物質〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 473p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480090614
  • NDC分類 421.2
  • Cコード C0142

内容説明

ヒルベルトを数学の父に、フッサールを哲学の母にもったワイルは、数学の詩人とも呼ばれ、思索力と表現力において他の追随を許さなかった。その卓越した力量は、一般相対性理論によってドラスティックに変革された空間・時間・物質の関係をみごとに統一的に叙述し、理論生みの親アインシュタイン以上にその本質を描ききったとも評された。本書は、その思考過程や縦横に展開された思索の深さを学ぶための最良のテキストとして評価が高い。翻訳は難解な原著をよく咀嚼し、懇切にその叙述が補われていることでも知られ、理論をめざす学生への格好の贈り物となっている。

目次

第1章 ユークリッド空間:数学的定式化と物理学における役割(同等概念と空間概念;アフィン幾何学の基礎;n次元幾何学の概念。線形代数。二次形式 ほか)
第2章 距離連続体(非ユークリッド幾何学について;リーマン幾何学;平行移動と曲率 ほか)
第3章 空間および時間の相対性(ガリレイの相対性原理;時間的に変化する電磁場の電気力学。ローレンツの相対性理論;アインシュタインの相対性原理 ほか)

著者等紹介

ワイル,ヘルマン[ワイル,ヘルマン][Weyl,Hermann]
1885‐1955年。ドイツ生まれ。ゲッチンゲン大学でヒルベルトのもとに学ぶ。1933年アメリカ亡命、プリンストン高等研究所で教授。数学者・物理学者・哲学者。作用素のスペクトル理論・群の表現論・リーマン面の理論などのほか、量子力学や相対性理論など物理学にもその力量を横溢させた。一般相対性理論と電磁気学を統一させるゲージ理論の草分けとしても著名

内山龍雄[ウチヤマリョウユウ]
1916‐1990年。静岡県生まれ。大阪帝国大学物理学科卒業。大阪大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やまやま

7
相対性理論の本といってよいでしょう。上巻では、特殊相対性理論(重力場を含まない)を扱います。テンソル算が得意な人は読みやすいでしょうかね。第一章のユークリッド的なものから第二章の非ユークリッド幾何学へ移り、第三章では空間及び時間の相対性について論じます。4次元時空体における「不変」性から動く物体の時間の流れが違ったように感じられることや物の「収縮」が論じられます。「物質」については有体なもの、つまり角運動量をもつものが意図されていることを感じます。最後にミーの理論がありますが、理解できずじまいでした。2020/01/10

壱萬弐仟縁

4
「名著ではあるが難解」(016ページ)とあるので、最初から手ごわさを感じた。しかし、名著は名著。素人なりにやってみた。難解な数式は確かに理解できない。しかし、重要箇所はゴシック太字なので理解できそうである。「空間の最も根本的な特徴は、空間の点がひとつの3次元多様体を形成する」(171-172ページ)とある。やはり、この太字程度ぐらいしか理解できなさそうであった。そして、空間や時間の概念をなんとかして解明しようとした著者には頭が下がる。20世紀初頭の物理学の概念解明は、難解ゆえに名著となったことがわかる。2012/11/28

ハンギ

1
とりあえず目を通した。物理学のユニークな書物というよりも、オーソドックスに数学的な概念の説明からアインシュタインの相対性理論へと導く書。最初のアフィン幾何学、テンソルが理解できないとちょっと全体的に理解ができなくなる。僕は高校生レベルの数学もちょっと怪しいので、まあ完全には理解できなくてもいい、とは思っていた。まあ時間と空間を一致する視点はアインシュタインだけではなく、リーマンから、さらにはガウスの曲面論からの数学が発展してできたものでもあるので、確かに数学を導入にして相対論を解説するのはありだと思った。2014/05/10

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