ちくま学芸文庫<br> 中世賎民の宇宙―ヨーロッパ原点への旅

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ちくま学芸文庫
中世賎民の宇宙―ヨーロッパ原点への旅

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  • サイズ 文庫判/ページ数 398p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480090478
  • NDC分類 230.4
  • Cコード C0122

内容説明

差別はどこから生まれてくるのだろうか?ヨーロッパにも職業差別・身分差別は存在したのだろうか?本書は、『ハーメルンの笛吹き男』で西洋中世の被差別民の存在に初めて光をあてた著者が、賎視と身分差別の問題に正面から取り組んだ、阿部史学の代表的著作である。西洋中世において、キリスト教の浸透による時空観念の一元化と死生観の転換によって、畏怖の対象であった職業を賎視するようになる過程を考察する。「ヨーロッパ中世賎民成立論」のほか「ヨーロッパ・原点への旅」「死者の社会史」等も収め、“小宇宙”と“大宇宙”をキーワードに西洋中世の人々の心的構造の核に迫る。

目次

私たちにとってヨーロッパ中世とは何か
ヨーロッパ・原点への旅―時間・空間・モノ
死者の社会史―中世ヨーロッパにおける死生観の転換
ヨーロッパ中世賎民成立論
中世ヨーロッパにおける怪異なるもの
ヨーロッパの音と日本の音

著者等紹介

阿部謹也[アベキンヤ]
1935年東京に生まれる。1963年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了。小樽商科大学教授、一橋大学教授、一橋大学学長、共立女子大学学長などを歴任。一橋大学名誉教授。2006年9月死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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ゲニウスロキ皇子

6
社会史という視点から中世ヨーロッパにおいて賤民が生み出される過程を記述していく刺激的な本。従来の「ケガレ」という観点から賤民を論じるのではなく、当時のヨーロッパ住人達の宇宙論の変遷から、賤民が生み出されたという考察は、説得的で示唆に富むものである。こういう動的な記述ができる人には憧れるなー。2011/01/31

嘉月堂

5
「他国の人間には・・・理解しえないある種の非合理なものを内包しているものが文化」「文明とは・・・だれでも参加しうるものであり、合理的で理性的な構造を持つ」「現代社会に生きている私たちは空間・時間を・・・均質的なものと考え・・・その考えを中世社会に持ち込みがちである。」「・・・貨幣経済確立以前のヨーロッパにおける人と人との関係のあり方を一言でいうならば・・・贈与経済の時代ということができる」「古代・中世の人々にとっては・・・富それ自体を集積する意味はなかった。」非常に示唆に富む本です。2013/07/07

shiro

3
家や共同体に代表される小宇宙と、その外に人知の及ばない世界である大宇宙が存在したという「二つの宇宙」論と、それらがキリスト教の下で一つの宇宙に一元化されていく様子が述べられる。大宇宙と関わる職業であるために畏怖された人々は、二つの宇宙観の消滅に伴って行き場を失い、畏怖は賎視に変わったという。簡単には納得できない部分もあったが、歴史を考える上で無意識のうちに障害となっている近代的観念がいかに多いか気付かされる。2013/04/09

amanon

3
非常に刺激に富むと同時に、一カトリック教徒として複雑な気持ちにさせられる一冊であった。一見相対立するキリスト教と科学。しかし、本書によると今日の科学の前提である均質的な空間と時間は実はキリスト教的な世界観が基盤になっているとのこと。ということは、近代科学はある意味キリスト教が生んだ鬼子ということか?後、機械式時計が生まれる背景に厳密な修道院生活があったという指摘もかなりはっとさせられるものがあった。ただ著者がヨーロッパ中世として扱っているのが殆どドイツに限られているというのが気になるのだが…2013/04/09

Hiroshi Kawai

2
世間とは何かの阿部謹也先生。キリスト教支配という11世紀の中世の転換期から思考することで、賎民賤視の起源、贈与・宴会から寄付への転換などの考察にうなずかされた。トクヴィルの言葉「「生きて活動し生産するものは全て、どんなに新しく見えても、新しさの背後には古い起源を有しているものである」そのままに現代社会の起源、日本と西欧の違いが11世紀中世の転換期から読み取れるのが素晴らしい。先生の人生に対する考え方も尊敬している。2022/08/12

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