内容説明
はたして科学は万能なのか。19世紀以来の「科学主義」は、現在なお「自然主義」の衣を纏って生き続けている。本書は「科学主義」と「反科学主義」をともに退け、科学を自然というテクストを解読する解釈学的営みとして捉え直す。ハンソンとクーンの「新科学哲学」、クワインの「知識の全体論」、ウィトゲンシュタインの「アスペクト論」を手がかりに、科学哲学に「科学的理性批判」という本来の哲学的課題を担わせることを目指す。ここに新たに論文3篇を加え、サイエンス・ウォーズや実在論/反実在論など、現代の哲学状況と切り結ぶスリリングな論考。
目次
「科学の論理学」から「科学の解釈学」へ
第1部 科学哲学の構造転換(「科学の解釈学」の目指すもの;生活世界とパラダイム ほか)
第2部 「知識の全体論」をめぐって(知のネットワークとパラダイム;「ロジカル・ネガティヴィズム」の帰趨 ほか)
第3部 ウィトゲンシュタインの問題圏(ウィトゲンシュタインの衝撃;「理論負荷性」とアスペクト知覚 ほか)
著者等紹介
野家啓一[ノエケイイチ]
1949年、仙台市に生まれる。1971年、東北大学理学部物理学科卒業。1976年、東京大学大学院科学史・科学基礎論専攻博士課程中退。1979‐80年、プリンストン大学客員研究員。現在、東北大学副学長。専門は科学哲学。1994年に第20回山崎賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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harass
73
個人的な宿題本の一つで、単純な科学哲学の本かと思って借りたが実に野心的で驚いた。多数の論考があるが、世界を自然を「書物」とするのではなく、「テキスト」として考えるというのに感心した。認識論や科学論や言語学などの基礎知識が要求されるが、実に知的好奇心を刺激された。途中で興味が薄れてしまったのもあり、後半は飛ばし飛ばしで非常に反省。2018/06/27
逆丸カツハ
16
勉強になるところが非常に多かった。ただ、自然をテクストとみなすということへの拒否感はぬぐえん。2025/07/20
ppp
2
今更通読。個人的には認識社会学、知識社会学の前哨のあたりが勉強になった。ただ、大哲学者の本というせいか、大味感は否めなかった(、もちろん、わざとそう書かれているように思うが)。クーンのパラダイム論も、初期の『コペルニクス革命』から思うに、クワインの言う保守主義が多分に機能しており、そこに継木する論理は自分で構成したい。あとフッサールの「生活世界」、「文化世界」と英米系の「日常世界の知覚」の関係は、そう簡単に分類、階層化できるとは思えない。このことについても、volk psychologyをもとに考えたい。2013/04/30
まれむりん
2
論文集ではあるものの、全編を通じて、近代哲学以降の「基礎付け主義」への病的なオブセッションを解体し、理論の循環・再帰性を積極的に認めるという「解釈学」のラディカルな立場が反復されており、主張は一貫している。根底にあるのはなんといってもウィトゲンシュタインだろう。分析哲学、科学哲学の入門的な読み物としてもとても面白い。「X:ウィトゲンシュタインの衝撃」の、非常に簡潔な『論考』要約は、目からウロコであった・・・2010/03/24
asakawww
1
パラダイム論、ホーリズム、アスペクト知の問題を「解釈学」的なパースペクティヴから統一的にとらえ直す名著。読後、すっかり反基礎づけ主義、反実在論にコミットしている自分がいた。科学哲学、現象学、分析哲学に通じた著者による、ラディカルな認識論集。2012/03/17




