ちくま学芸文庫
グラモフォン・フィルム・タイプライター〈上〉

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 文庫判/ページ数 331p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480090348
  • NDC分類 361.45
  • Cコード C0100

内容説明

テクノロジーは、いわゆる人間というものから文字を吸い上げ、どこかに運びさってしまった―。蓄音機=聴覚技術メディア、映画=視覚技術メディア、タイプライター=書字技術メディア。この3つの近代テクノロジーが華々しく登場し、展開をとげるとともに、人間には何が起こったのか。フーコーの考古学的手法、ラカンの構造主義精神分析などを織りまぜたディスクール分析によって、システムがたどった歴史を壮大に描きだす衝撃のメディア論。上巻はグラモフォンからフィルムの章の冒頭を収める。

目次

導入(ケーブルによるネットワーク化;メディアを連結するシステム;フォノグラフィと映画 ほか)
グラモフォン(発明の歴史;魂の自然科学;ギュイヨー「記憶とフォノグラフ」 ほか)
フィルム(映画は歴史を切断する;目の錯覚と自動武器)

著者等紹介

キットラー,フリードリヒ[キットラー,フリードリヒ][Kittler,Friedrich]
1935年生まれ。ベルリン・フンボルト大学文化学・芸術学研究所教授。ドイツ文学、メディア論、文化学などの分野できわめて独創的な思想を世に問い続けている

石光泰夫[イシミツヤスオ]
1949年、大阪府生まれ。東京大学大学院総合文化研究科・教養学部教授。ドイツ文学・表象文化論

石光輝子[イシミツテルコ]
1950年、兵庫県生まれ。慶応義塾大学商学部教授。ドイツ文学・ドイツ文化論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

またの名

12
フーコーの方法はある時点で行き詰まる。唯一の信頼できる記録メディアだった書かれた文字とは別のメディア技術が登場するとき、それら技術が記録したものは言説の外部に変じるのでフーコー流の分析ができなくなってしまうと指摘。代わりに怪しげなラカン風の図式を持ちだして、蓄音機→現実界、映画→想像界、タイプライター→象徴界と見立ててフーコーが筆を止める地点から書き始めるメディア論。発展を加速し続ける技術は文字で書かれた小説の作者への崇敬も解消し、本を読まない人たちの文学が世界で一番読まれている状況(流行歌)だって生む。2017/06/25

Ecriture

3
飛躍し過ぎるので学問としての価値は怪しいかも。マクルーハン、ドゥルーズを進化させてフロイト、フーコーを独自のメディア論に読み替える魅力的な1冊。読み物としておもしろい。2009/01/24

チカ

2
書かれていることの周辺の文化的知識がないため(哲学とか思想とか歴史とか)読むのが非常に大変。上巻だけでもかなりの時間がかかる。上巻はグラモフォンが中心だが、それまでの字などに落としこんで記録する、つまり書き手の影響が出るメディアと違い本物そのままが記録されるグラモフォンがいかに画期的なものかがわかる。情報の伝達や加工というものが全く変化するということの考察は、今後を考える上でも示唆に富む。WEBというメディアが今後どれだけのものを変えていくのかのヒントになるだろうか。2010/03/10

毒モナカジャンボ

1
文字の専制は電子メディアの専制にとって変わられ、そこではもはや歴史を語ることができない。その過渡期にあった3つの革新的メディアのうち、上巻はグラモフォン(録音と再生、電話)とフィルム(映画)について。楽譜という文字が閉じ込めていた楽音の領域が、工学と生理学の融合により音波という観点から科学的に再構築されたとき、第一音がまさに鳴らんとする瞬間の魔術は奪い去られ、最初期は動物由来の道具を経て録音という概念が誕生し、新しい幻想が生み出される。戦争から生まれたドイツ製テープレコーダーは、アビーロードを作らせる。2020/03/02

akuragitatata

1
ややわからんところもあったのだけれど、戦争とフィルム/グラモフォンの関係を解き明かしていく手腕がお見事。科学史的にはどうなのかわからないけれど、メディア論としてはすごく興味深い。2009/09/05

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/38201
  • ご注意事項

最近チェックした商品