内容説明
「私のこの書は私の心を惹かれた中国古典の説話、随筆、短篇小説、歴史の断片などを蒐集して、私の得た新鮮な驚き、感動、あるいは哄笑などを多くの人と頒ち合いたいために書かれたものである」(本書「あとがき」より)。世界的数学者が、その本業の傍ら、永い年月をかけこつこつと集め、訳し、解説を施した“私の「収集展示館」”。原作者の意図や歴史的背景に迫る記述は、随所に新発見、新説、新釈が見られ、新鮮で奥深く、かつ滋味あふれる中国説話文学への誘いとなっている。書き下し文庫オリジナル。
目次
桜桃の少女
進士にはなったが
神仙願望
久しくしていよいよ敬す
銭庫を見つけたが
いわしの頭
薤歌一声
手を携えて
掖庭の人々
資治通鑑と北夢瑣言〔ほか〕
著者等紹介
志村五郎[シムラゴロウ]
1930年生れ。東京大学理学部数学科卒業。現在プリンストン大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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オザマチ
10
翻訳が読みやすく、背景についても必要な解説をしてくれるので、馴染みの薄い中国説話文学に気軽に触れる事ができる。内容とは直接関係ないが、語り口が著者の数学の本と同じで面白い。2017/05/27
いちはじめ
1
フェルマーの最終定理の解の足がかりとなった谷山・志村予想で知られる数学者と同じ名だなぁと思ったら、本人だったのでびっくり。この世代(1930年生まれ)だとまだ漢籍は基礎教養だったのかもしれないが、圧倒されてしまう2006/10/14
AR読書記録
0
あとがきにあるように,「中国の話にこんなおもしろいのあるよ聞いて聞いて」(超意訳)みたいなのであれば,南伸坊さん『李白の月』的なほうがすっとは入ってくる.で,やっぱりこちらは,単に話の筋だけではなくて,「その裏を読み込むとこんなことがわかるよ聞いて聞いて」であり,確かにタイトルどおりである.その背景というのも,民俗的・社会的というより歴史的(具体的史実)なもので,それを知ると単に“伝奇”モノとして風味を味わえばいいっていうものでもないなと,かなり印象がかわる.うん,面白いなこの本.2013/07/28
Tetsuyoshi Minamoto
0
中国の短編小説、随筆等が色々とあり、非常に興味深く読めました。 著者がなんと数学者というのがすごい。2012/07/14
Little Arrow
0
最高の数学者による最高の解説本。何やってんだ、とも。詩に対する論評が辛口で小気味よい。2006/09/30
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