内容説明
桂離宮と伊勢神宮に「永遠なるもの」を見、日光東照宮を「キッチュ」(いかもの)と断じ、その著書『日本美の再発見』や『日本文化私観』などによって、日本人の文化・芸術に大きな刺戟を与えたドイツの建築家ブルーノ・タウト。しかしまた、タウトは桂離宮の中にキッチュな部分をも発見する。「永遠なるもの」とは持続されるものであり、キッチュもまた、絶えず変貌し持続される。著者は、その持続が常に更新されることに、現代に生きる美の力を見る。そして、タウトの眼の思考の虚実を、1930年代の日本に現れた「まれびと」「テオーリア」と捉え、その謎を解き明かした名評論。
目次
プロローグ 別離の人
1 「空白」としての存在
2 まれびとの室ほぎ
3 キッチュの発見―東照宮
4 永遠とキッチュ―桂離宮
5 石と水と木の世界―再び桂離宮
6 「釣合い」を求めて
7 日本の思い出―熱海・日向邸
エピローグ 洗心亭再訪
著者等紹介
高橋英夫[タカハシヒデオ]
1930年東京生まれ。東京大学文学部独文科卒業。文芸評論家。主要著書に、『批評の精神』(中央公論社、亀井勝一郎賞受賞)、『役割としての神』(新潮社、芸術選奨受賞)、『偉大なる暗闇』(新潮社、平林たい子賞受賞)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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