ちくま学芸文庫
ランスの大聖堂

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  • サイズ 文庫判/ページ数 209p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784480089397
  • NDC分類 954
  • Cコード C0110

内容説明

21歳での処女出版『ランスの大聖堂』と、第2次大戦前後の重要テクスト選集。1918年の表題作は信仰時代の青年バタイユの貴重な証言であり、すでに聖性における究極の脱自という生涯のテーマがうかがわれる。ほかに、信仰放棄後の地母神と大地の闇に光を当てるディオニュソス的母性論、消尽のエネルギーを論じるプロメテウス=ゴッホ論など『無神学大全』の思索の原型から、戦後のシュルレアリスムへの逆説的擁護や実存主義との対決、凝縮されたイメージに神を透視する論考など17のテクスト。バタイユ最初期から中期のエッセンス。

目次

1 一九一八(ランスのノートル・ダム大聖堂)
2 一九三七‐四〇(悲劇=母;髪;プロメテウスとしてのファン・ゴッホ;天体 ほか)
3 一九四六‐四八(半睡状態について;アンドレ・マッソン;よみがえるディオニュソス;取るか棄てるか ほか)

著者等紹介

バタイユ,ジョルジュ[バタイユ,ジョルジュ][Bataille,Georges]
1897‐1962年。20世紀フランスの思想家。第2次大戦前、美学・考古学の雑誌「ドキュマン」、左翼政治団体「民主共産主義サークル」、宗教的秘密結社「アセファル」などで活躍。大戦中『無神学大全』を発表。戦後、書評誌「クリティーク」を中心に広範で尖鋭な論陣を張る

酒井健[サカイタケシ]
1954年、東京生まれ。東京大学文学部仏文科および大学院修了。パリ大学でバタイユ論により博士号取得。法政大学文学部教授。『ゴシックとは何か』(サントリー学芸賞)など。バタイユの訳書も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

∃.狂茶党

13
時代時代に切り出された、バタイユの言葉は時々、観念が先走るものの、長い文章よりはわかりやすい。 とはいえ、いくつかバタイユの本を読んでないと、関連みたいなものが見えてこないかも。 この本を読むには、バタイユを二、三冊読んでおくほうがいいような気もするが、入門編としてもいいのかも。 政治の話や、芸術の話が混じり合った文章。 バタイユの宗教方面、密教的なガチのオカルト団体についても、ちょっとした話題が。 サクッと読めます。 2023/03/06

しゅん

12
改めて読むと、バタイユが第二次世界大戦後にシュルレアリスムについて語っているそのタイミングが興味深い。シュルレアリスム運動の中心人物、ブルトンとの間に緊張関係を走らせてきたシュルの批判者バタイユが、形骸化が進んだ(であろう)タイミングでシュルを擁護する。しかし、それは芸術ではなく精神のほうへ向かわせるシュルである(ブルトンへの批判は崩していない)。未だつかめていない部分も多いが、「芸術」と「精神」を対立項とする論理があるとすれば、それを知りたいと思う。今の「芸術」の在り方にずっと疑念を抱いているから。2020/09/26

春ドーナツ

10
テクスト選集。バタイユが求める「聖なるもの」は、言語化すると同時にそれは隷属化(固定化)され(自由が失われ)、意味をなさないという崇高な概念なので、それを文章化するのは至難の業だったと思います。ニーチェを援用しつつ、核心をつけないまま、なんとか「そのもの」を表象しようと、熱意を込めれば込めるほど文章は難解になるのも仕方がないかも知れません。バタイユが「異議申し立て」をしつつもシュールレアリスムを擁護するのは、その運動の純粋な成果に「聖なるもの」が現出するはずなのだという忸怩たる思いがあったのです(私感)。2017/09/18

ラウリスタ~

3
この本がバタイユのなかでいかなる位置を占めるのかをまったく知らずに読んだからか、なんともなんにも残らない読後感。昔っからバタイユとはそれほど相性はよくないような気がするのだが、この本は悪く言えば寄せ集めなのでいまいちよく分からず。筑摩ってこういう本も多いんだよな。バタイユの文章そのものはそこそこ面白かったように思う。ところで、こういった断章形式の短い文を適当に出されて、それがブランショか、ヴァレリーか、バタイユか、バルトか、はたまたサルトルかとかって分かるものなのか?って思ったり、一種のスタイルあるような2012/05/10

こうず

3
信仰放棄以前のものを含むバタイユのテキスト集。抽象的・詩的な色彩を少なからず含んでおり、非常な難解さを伴っているのは否定できないが、21歳当時に発表された「ランスのノートルダム大聖堂」に始まる一連のテキストは、著者の思想的変遷を辿る上では非常に重要な意味を持つと思われる。とりわけ「エロティシズム」「有用性の限界」や、未完に終わった「呪われた部分」の雛形とも思える大地母神論・天体論・世界観は、やはり最も特徴的な「死とエロス」の作用を包含している。やはり、これらもジョルジュ・バタイユなのだ。2010/04/25

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