内容説明
哲学的に思考しようとするとき、心得ておくべき基礎的な点とは何だろうか?古典古代のギリシア以来、「愛知」として始まった哲学が探求してきた主題と方法、哲学にとってきわめて本質的な特質を平明な文体で叙述し、さらに、古代・中世を経て現代に至る東西の哲学思想の歴史的概観を提示する。自らの生の根拠を確認し、充実と達成を願って生きる人間的実存をたえず熟考しなおすために、初学者におくる哲学入門。
目次
哲学という言葉
「愛知」としての哲学
人生観・世界観の根本知
哲学の方法
哲学の分野
東洋の知恵
西洋哲学史の基本的構図
西洋近現代哲学の生成と動向
存在と知識
現実と実存
著者等紹介
渡辺二郎[ワタナベジロウ]
1931年生まれ。東京大学文学部哲学科博士課程修了。東京大学文学部教授、放送大学教授を経て、東京大学名誉教授、放送大学名誉教授。専攻、哲学
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感想・レビュー
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うえ
9
「いわゆる「アウフヘーベン」の過程を読み込んだヘーゲルの考え方を、ガダマーは高く評価した。言ってみれば、過去の伝承の「真理要求」と「対決」することが、解釈の際の眼目にならねばならないとガダマーは見たのである。ただし、ガダマーは、この歴史的伝統との対決が、果てしなく進む「開かれた」ものであって、けっしてヘーゲルが考えたように、閉じた「完結した」絶対的な哲学に終結することはないと見た」2018/06/26
みず
2
読むのは二回目。初読のときよりは知識が増えている(はず)なので知識としての内容には多少の物足りなさを感じつつも、読むと込み上げてくるなにかをもたらす一貫した性格・態度がこの本の持つなによりの価値であると思う。2013/09/16
ロルカ
1
哲学の定義付けの部分と、哲学史の部分は実にわかりやすく整理されている。これをベースに次になに読むか考えられるので入門向きではある。ただ全体的にドイツよりなので英米系、フランス系の本も呼んだほうがいい。哲学史が終わってからの章は蛇足的な上に、内容的にも引用のつぎはぎ感が否めない。最後は愛や信仰に投げちゃうあたりがひどい。シモーヌ・ヴェイユのような真摯さが感じられればそれでもいいんだけど、それだけの敬虔さは感じられない。2012/03/12
きんちゃん
0
とてもいい本。みんなに勧めたい。2013/03/23
鯨、或は山田
0
忠実な引用を多くし、タイトルの名に違わぬようなものであると思った。全く哲学に馴染みのない方には読みづらい文章かもしれないが、この本の注釈にあるようなモノや原典にこれからあたるつもりならば、足馴しとしてでもいいのではないか。久々に立ち返り、流れを整理するために読んでも、洋の東西を各々概略的に取り上げ、かなり分かりやすいものであると思った。2012/02/29